第15章 #15 離ればなれの不安
「無事に帰ってくるのを祈ろう」
「……はい」
「しかし本当に美しいの!どうじゃ、今からでもワシの補佐にならんか?」
ピクシスがリリアの手を取ると、今まで黙っていたリヴァイがリリアの手を引っ張った。
その行動にピクシスが笑う。
「これはこれは!お主には人類最強のボディガードがおった!」
「リヴァイっ!すみません!!」
あっはっは、と笑いながらピクシスは手を振り、その場から去っていった。
大きなため息をつきながらリリアはリヴァイを見る。
チッ、と舌打ちしながらリヴァイは機嫌が悪そうにピクシスの後ろ姿を見ていた。
「何イラついてるのよ、冗談に決まってるでしょ」
その時だった。
遠くの方に信煙弾が上がるのが見えた。
リリアが立ち上がる。
おそらく索敵陣形の信煙弾だ。エルヴィン達が壁から移動している。
「お兄ちゃん……」
「行ったな」
リヴァイも立ち上がり、その信煙弾を見つめた。
赤い信煙弾が次々と上がり、おそらく巨人達と遭遇しながらも進んでいるのだろう。
「……周りを囲まれてやがるな」
「………」
リリアがギュッとリヴァイの服を掴んだ。
視線は真っ直ぐ遠くを見ている。心配でならないのだろう。
二人は暫く壁の上にいたが、信煙弾も上がらなくなり状況も分からないために下へと降りた。