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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第15章 #15 離ればなれの不安



壁の上に上がり、座って遠くを見ているリリア。
時間が過ぎ、少しずつ陽が落ちている。

すると立体機動でリヴァイが壁の上に上がってきた。どうやらニックを誰かに任せ、リリアの元へ来たようだ。
リヴァイは薄手の毛布を手に持っており、それを座って遠くを見ているリリアに掛けた。

「リヴァイ。ありがとう」
「怪我人は下で待ってろ。身体が冷える」
「大丈夫」

その時だ。

「おぉ、こんな所におったか」

リリアとリヴァイが振り返ると、ピクシスが手を挙げながら近付いてきた。リリアが立ち上がり、敬礼をする。リヴァイは座ったままだった。

ドット・ピクシス、駐屯兵団をまとめる最高司令官だ。


「いいから、座りなさい。怪我をしているんじゃろう?」
「すみません、失礼します」

リリアはピクシスの言葉に甘え再び腰を下ろすと、ピクシスもリリアの隣に座った。

「こうして話すのは初めてかのう?」
「そうですね、ピクシス司令。リリア・スミスと申します」
「話はよく聞いておるよ。エルヴィンの妹だったかの。調査兵団に入って最短で兵士長になり団長補佐になったとな」

はい、とリリアが返す。

「噂通りの美しい兵士長じゃのう!周りの男共が黙っとらんな!」
「え?あ、ありがとうございます……」
「エルヴィンが心配か?」
「……いつも側で護衛していたので…こうして帰ってくるのを待つのは久しぶりで……少し不安です。勿論調査兵団ですから覚悟はしていますが……私が見ていない所で力尽きてほしくはない」

そうか、とピクシスは返し、懐から小さな酒瓶を取り出すと、ゆっくり飲み始めた。

「あやつは出来る男じゃ。そう簡単には死なないじゃろう」
「だといいのですが」
「お主はなぜ調査兵団に?」

リリアはピクシスを見つめた。あまりそういうのは言いたくないのだが。

「……人類のためですよ」
「あっはっは!!模範解答じゃな!さすがエルヴィンの妹じゃ。心の奥は何を考えて行動しておるのか。しかしワシはエルヴィンを気に入っておるよ」

ゆっくりピクシスが立ち上がった。

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