第15章 #15 離ればなれの不安
「おそらく追いたくても追えないだろう。人数も少なく、馬を降ろすリフトがない。ピクシス司令、我々も今すぐに向かいます」
「うむ」
「皆、準備を始めろ!!完了次第、壁の上を移動し援護に向かう!!」
エルヴィンの指示に皆が準備を始めだす。
リリアはエルヴィンの側に近寄り、彼の右手を取った。
「リリア、お前は勿論待機だ。リヴァイ、リリアを頼むぞ」
「あぁ」
しかしリリアはエルヴィンの手を離さない。それどころか右腕にしがみ付く。
困ったようにエルヴィンが息を吐いた。
どうも昨日からリリアの様子がおかしい、何かしらエルヴィンの右腕を気にする素振りをする。
「リリア?昨日からどうした?時間がない、離しなさい」
「おいコラ、リリア。ガキじゃねぇんだ。邪魔するな」
リヴァイが無理矢理リリアをエルヴィンから引き剥がす。
すると兵士がエルヴィンに報告に来た。もう準備は整ったようで、出発しなければエレンがどんどん先に連れて行かれてしまう。
事は一刻を争う、ここで時間は取れない。
「行ってくる」
「団長!」
「リリア、いい加減にしろ」
リヴァイがグッと腕を引く。
「分かってるってば!!お兄ちゃん、今回私は後ろにいないんだからね!ちゃんと警戒して!周りよく見て!!」
「分かった。必ずエレンを連れて帰る」
「約束よ…無事に帰ってきてね」
エルヴィンは苦笑いをするとリリアに近付き額に優しく口付けし、軽く手を振るとその場から足早に離れた。
そして調査兵団と憲兵団、駐屯兵の兵士達は壁の上を移動し、ハンジ達のいる壁へと向かっていった。
リリアとリヴァイは待つしかない、ただ待つしかなかった。