第15章 #15 離ればなれの不安
「そういえば巨人が見当たらないらしいね」
「みたいだな」
「壁は本当に壊されたのかな…」
その時だ、後方から派遣されてきていた憲兵団が二人に声を掛けた。
「オイオイ、異常時だと聞いて来てみりゃ」
「あぁ、随分のんびりしてるじゃないか。なぁリヴァイ、リリアよ、俺らの獲物はどこだ?」
嫌味のある言い方にリリアの眉がピクリと上がる。
すると普段の厳しい表情に戻り、その憲兵団を睨んだ。
睨まれた兵士がビクリと肩を上げる。
「リリア、威嚇するな。お前ら随分と残念そうじゃないか。悪いな、お目当ての巨人と会わせられなくて。今回のところはまぁ残念だったかもしれんが、壁外調査への機会はいくらでもある。これからは力を合わせて巨人に立ち向かおうじゃないか」
「まぁ、あれだ。俺たちにも内地の仕事が…」
リヴァイの言葉にうろたえると、伝令を受けた兵士が慌てて走り込んできた。
「先遣隊が帰って来たぞ!!ピクシス司令に伝えろ!!」
伝令の声が響く。
どうやら壊された壁の確認に出た先遣隊が戻ってきたようだ。しかし何故か慌ただしい様子だ、皆が集まり帰ってきた使者達を囲う。
「ニック、ここで待っていろ。動くんじゃねぇぞ」
リヴァイは立ち上がり、荷馬車から降りると振り返り、次に降りようとしたリリアに手を伸ばす。
脇の下に手を入れてあまり体に負担がかからないようリリアを持ち上げゆっくり抱え降ろした。
自分もまだ足が痛いだろうに。
「ありがとう」
リヴァイは何も言わずリリアの額を軽く小突き、皆の元へ向かった。
リリアもリヴァイに着いて歩く。
すると呼ばれたピクシスとエルヴィンも伝令兵の元に到着した。