第15章 #15 離ればなれの不安
次の日、トロスト区には調査兵団、それに加えて憲兵団までもが派遣され、兵が集まってきていた。
エルミハ区から戻ってきていたリヴァイもニックと共に荷馬車の上で待機をしていた。
「リヴァイ」
振り向くとリリアがこちらに向かって歩いてきていた。
まだ歩き方がぎこちない、体が痛いのだろう。
リヴァイは立ち上がりリリアの手を引っ張って荷馬車に乗せた。
「ありがとう、改めてお帰り」
「あぁ」
「ニック司祭も、ご機嫌いかがです?」
ニックは下を向いたまま無視をし、リリアが苦笑いをする。
「エルヴィンはどうした」
「お兄ちゃんならピクシス司令の所に行くって」
「体はどうだ?」
「昨日の今日だからあまり変わりはないけど、大丈夫。ありがとう」
リヴァイが大きな息を吐いた。
「あれだけ動いて骨が折れないとか、テメェの骨は鋼かよ」
あはは、とリリアが笑う。
「リヴァイも足は大丈夫?」
「あぁ」
「で、報告書は見せてもらったけど」
リリアが再びニックを見るが彼は全然反応しない。
エルミハ区の人々を見ても何も口を開かなかったらしい。
しかし彼らの言う"大いなる意思"というモノから104期のクリスタ・レンズを監視しろという指示があったという事だけは吐いたらしい。
しかし104期生は今、最前線にいる。
ハンジ達が向かったようだが、彼らは無事なのだろうか。