• テキストサイズ

誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第15章 #15 離ればなれの不安



「少し書類を書くから、リリアはゆっくりしていなさい」
「うん」

エルヴィンは机に向かうと深呼吸をし書類を書き始めた。
しかしなかなか集中できない。チラリとリリアを見ると彼女も見ていたのか目が合った。
エルヴィンがスッと視線を下げる。

顔が熱い、こんな感情は初めてだ。


(前も似たような事があったが、今回はちょっと……マズイな……無意識にキスをしてしまったり……俺はリリアをどう思っているんだ…妹なのに…)


でも……血は繋がっていない…


「………」

エルヴィンが再びリリアを見ると、リリアは眠ってしまっていた。
女型の捕獲から怪我をしたまま数時間でここまで連れて来てしまった。
相当疲れただろう、エルヴィンは立ち上がると座ったまま寝ているリリアを横にして毛布を掛け直した。

「おやすみ」






深夜、団長室に兵士が報告書を持って入ってきた。

「失礼します、……っと…」

兵士がソファで眠っているリリアに気付き声をひそめた。
気遣いにエルヴィンが苦笑いをする。

「これを…」
「すまないな」

受け取った報告書には今回の戦いでの戦死、負傷者の名前が記されていた。
その中にミケの名前があり一瞬ピクリと眉を上げた。

「……ミケが…。そうか…」
「殆どが巨人に喰われていて……無惨な姿に……リリア兵長、悲しみますね」
「そうだな」

ミケには随分とリリアを可愛がってもらった。
たくさん話すわけではないが、後ろからいつもリリアを見守ってくれていた。
エルヴィン自身、ミケとは相性が良く色々な場面で力を貸してもらった。
それがこのような別れになるとは。


これが調査兵団だ。
親かった者とも急に別れが来る。
『さようなら』も『ありがとう』も言えないまま。


/ 1007ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp