第14章 #14 この心臓は貴方の為に
自分が調査兵団にいる理由をリリアは知っている。
エルヴィンが調査兵団にいる理由は父親の仮説を証明する為だ。
壁の外には人間がいて、我々壁の中の人間は記憶を改ざんされたのだ、とエルヴィンの父親は仮説を立てていた。
幼かったエルヴィンは友人達にその事を話し、それを中央憲兵に聞かれてしまった。
その後エルヴィンの父親は捕まり、拷問を受け亡くなってしまった。
自分が……
父親を殺してしまったようなもの
この事もリリアに話した記憶はない。
おそらく自分がいない間に色々と家にあった物を見て、自ら調べ、エルヴィンの考えを見つけ出したのだろう。
「私は絶対にお兄ちゃんの夢を叶えてみせる。それが私の夢だもの」
「リリア……」
リリアはエルヴィンの手を取ると自分の左胸に当てた。
「エルヴィン・スミスに私の心臓を捧げます。貴方が夢を叶えたいように、私も私の夢を叶えたい。私を貴方の駒にしてください」