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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第14章 #14 この心臓は貴方の為に



「調査兵団に入る?ダメに決まっているだろう!?」
「どうして?」
「どうしてって…いいか?リリア。調査兵団はお前が思っているよりも危険なんだ。いつ死ぬかも分からないんだぞ?」


ある日の事だった。
リリアは自分も調査兵団に入ると休暇で家に戻ってきたエルヴィンに告げた。
しかしエルヴィンはなかなか首を縦に振らない。
当たり前だ、調査兵団は3つの兵団の中でもっとも死亡率の高い兵団、そんな危ない所に大事な妹を入れる訳にはいかない。

「それは承知の上だよ!でも私は調査兵団に入りたいのっ!」
「何故!」
「お兄ちゃんの側にいたいから!!いつもいつも…お兄ちゃんが死んだらどうしようって泣きながら待つのはもう嫌なの……それなら私がお兄ちゃんの側にいて、いつも守りたい!!」
「……俺には…叶えなければならない事がある。しかしそれにはたくさんの犠牲を出さなければならない。自分の命も投げ出す覚悟でだ」

エルヴィンは厳しい顔でリリアを見つめた。

「だがお前だけは巻き込むわけにはいかない…頼むから調査兵団には入らないでくれ。お前のためを思って…」
「全然分かってない!!」

バンっと机を叩き、リリアが立ち上がる。

「私のため?私のためを思うなら許可して!!」
「リリア…」
「叶えたい事ってお父さんの事でしょう?お兄ちゃん、よく話してくれてたもんね、お父さんの仮説の話」

エルヴィンがリリアを見つめる。

「お父さんの仮説を証明するためにも私を使って」
「は?」
「お兄ちゃんだけにつらい思いはさせない。人類のため、そんなの建前で、本当は自分自身の夢のために動いてるんでしょう?ならそれに私を駒として使って」

この子はなんて事を口に出すのか、エルヴィンは息を飲んだ。
しかしいつの間にここまで知られた?自分の思いを、夢を口に出した事はないのに。

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