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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第2章 #02 トロスト区襲撃



「エレンを調査兵団に入らせ壁外調査に連れ出せば超大型巨人や、鎧の巨人を誘き出し、中の人間を引き出せるかもしれない」
「なるほど…」
「それと、巨人の中の人間の事だ。エレンの巨人化を見て内門の破壊をやめたのならば……」
「……見ていたのは兵士達…」

そうだ、とエルヴィンが頷く。

「ウォール・マリア破壊時に潜入したと考えると5年前の戦い以降に兵士になった者の中にいると考えられる」
「……」
「いずれにせよエレンを調査兵団に迎え入れなければ話が進まない」
「リヴァイを呼んできます。モタモタしていたら憲兵団に好き勝手されてしまう」

リリアが身体を翻し、部屋を出ようとすると待ちなさい、とエルヴィンがリリアを引き止めた。
椅子から立ち上がり彼女の前に立つとポンポンと頭を軽く叩く。
ゆっくりエルヴィンを見上げると柔らかな笑顔を向けてくれていた。

「無理はしていないか?俺と二人の時はいつも通りに話して良いんだぞ?」

リリアは困った様に口を尖らせると視線を逸らして口を開いた。

「別に無理はしてないよ、でもさ、どこで誰が見てるかも分からないし…気を引き締めておかないと…」
「俺は少し寂しいな、他人みたいで」
「えっ?!あ、や、なら2人の時はなるべくいつも通りにする!!」

エルヴィンの補佐に着いてからリリアは人前では感情をあまり表に出さなくなった。
特にエルヴィンの側にいる時は笑いもしない、常に鋭い眼差しを周りに向けていた。
おかげで新兵達からは少々近寄り難い存在になり、リリアの本当の性格を知っている者は段々と少なくなっていた。

「いつも通りだと……つい甘えちゃうからな…」
「2人の時は構わないよ、俺が家を出てからずっと寂しい思いをさせてしまったからな」

するとリリアの表情がパッと明るくなり、エルヴィンにギュッと抱き着いた。
エルヴィンも優しくリリアの頭を撫でる。
が、何かに気付いたように顔を上げた。

「はっ!時間がないんだった!!すぐにリヴァイを呼んでくるから、お兄ちゃんは準備しててね!」
「あぁ、分かった」

行ってきます、と手を振りながら部屋を出たリリアを見送ったエルヴィン。スッと表情を戻すと窓から外を見た。


今までと違う、何か始まろうとしているような、そんな予感がした。
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