第2章 #02 トロスト区襲撃
暫く時間が経ち、コンコンとドアを叩く音にエルヴィンは顔を上げた。
リリアが戻ってきたのだ。
「団長、憲兵団からエレン・イェーガーとの面会許可が出ました」
「そうか」
「それとこれを」
リリアはポケットから鍵を取り出すと、それをエルヴィンに手渡した。
エルヴィンが鍵をジッと見つめる。
「これは?」
「エレン・イェーガーの生家にある地下室の鍵です」
「っ?!どうやって手に入れたんだ?あの憲兵団から」
リリアがふふふ、と笑った。
「団長の夢がある場所の大事な鍵です。貴方から返してあげてください。どうやって手に入れたかは内緒です。あ、ちゃんと許可は取ったのでその辺は安心してください」
「………ナイルが不憫だな」
まったく、とエルヴィンは苦笑いをしながら鍵をしまった。
そして深く息をつくとリリアを見つめて口を開いた。
「今回の事をどう思う?人間が巨人になるなど考えもしなかった」
「そうですね、これはあくまでも私の推測ですが、もしかしたら……エレン・イェーガーの他にも巨人になれる人間がいるのでは、例えば……あの大型巨人とか…」
エルヴィンが笑う。
「さすがは俺の妹だな、俺ももしかしたらそうなのではないかと思っていた。そして気になるのが、何故今回は内門の破壊までせずに途中で攻撃を辞めたのか、だ」
「……門を破壊するよりも、重要な事を目撃したから?」
「そうだ。おそらくエレンの巨人化を目撃したために内門の破壊をやめた。そしてこれも推論だが、もしかしたら次はエレンを狙ってくる可能性がある」
リリアが眉をひそめるが、エルヴィンはさらに話を続ける。