第12章 #12 女型の正体
暫く沈黙が続くと、リヴァイは椅子をリリアの横に置き座り直した。
「アイツらの事を思うなら辞めておけ。そんな事望んじゃいねぇだろ」
「………」
「エレンから聞いた。お前、オルオの遺体に躊躇して斬れなかったそうだな」
ピクリとリリアの体が跳ねる。
リヴァイは、はぁと息を吐き、そしてリリアの頭の上に手を軽く置いた。
「ありがとうな……連れて帰れなくてすまなかった」
リリアの目から涙が溢れる。
「私がもっと強かったら……きっとあの場にいたのがリヴァイだったら…討ち取れてた…私が弱かったから…みんなの仇を取れなかった。だからせめて捕獲は成功させたい」
「今のお前が行っても邪魔になるとエルヴィンが言っただろうが、あれは間違ってねぇよ」
「邪魔はしない!!」
「何の根拠があってそう言える?テメェは今の自分の状況が分からない馬鹿か。そんなボロボロな体で行ったって本来の動きは微塵も出せねぇよ」
リリアが歯を噛みしめる。
「分かってるよ…ワガママだって……」
「じゃあ辞めとけ」
「いや……いや……」
ついにリリアが泣き出してしまった。
「みんなで無事に帰って来るって……約束したのに……」
「………」
「私だけ……生き残ってしまった……リヴァイ…リヴァイ…ごめんね、ごめんね…あなたの部下を助けられなくて…ごめんなさい……ごめ…」
「お前は悪くねぇよ、泣くな」
リヴァイがリリアを抱きしめる。
痛くないように力を抜いて。
「お前だけでもよく戻ってきた」
リヴァイは離れると、ポケットからスカーフを取り出した。