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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第12章 #12 女型の正体



「リリア兵長、大丈夫ですかね」

旧調査兵団本部では今から向かうと知らせを受けたリヴァイとエレンが広間で待っていた。
2人しかいない広間が広々しすぎて寂しさを感じる。

「死んではいねぇよ。ボロボロだったがな、アレでよく生きてたもんだ」
「リリア兵長、あの時、躊躇しなかったら女型を討伐出来ていたかもしれません」
「躊躇?」

エレンはあの時の状態をリヴァイに話した。
リリアはリヴァイ班の皆が与えたチャンスを生かして腱を切り、女型のうなじを狙っていたが、女型がオルオの遺体を盾にしたために斬れなかった事、その隙をつかれて蹴り飛ばされた事を。

「もしあの時、躊躇しなかったら…もしかしたら女型は倒せていたかもしれません。でもそうするとオルオさんの体は…」
「速度重視で斬ったために傷が浅く、そのせいで傷の修復が早くなり隙を突かれて蹴り飛ばされたか……成程な。しかし治りきっていなかったために蹴りの威力が弱くあんなクソデカい奴に蹴り飛ばされても死なずに済んだって事か」

「あの速さはまるでリヴァイ兵長を見ているようでした。リリア兵長の立体機動装置の使い方、身体の動かし方はリヴァイ兵長にそっくりですよね」
「あぁ、俺が教えたからな」

その時だ、物音がして扉が開きエルヴィン達が入ってきた。
続いて入ってきたアルミン、ミカサ、ジャンの姿にエレンが目を見開く。
どうして3人がエルヴィンと共に来たのだろうか。


「遅れて申し訳ない」
「いえ……リリア兵長、大丈夫ですか?」

リリアは笑顔だけをエレンに返した。あまり大丈夫そうには見えない。
エルヴィン達は席に着き、女型の巨人と思わしき人物を見つけた事をリヴァイとエレンに話した。
そして今度こそ確実に捕らえるという事、地図を開いたエルヴィンは印を付けながら皆に説明を始める。


「作戦の決行は明後日。場所は我々が王都に召喚される途中で通過するストヘス区だ。ここが最初で最後のチャンスとなる。ここを抜ければエレンは王都に引き渡され、壁の破壊を企む連中の追及も困難になるだろう。ひいては人類滅亡の色が濃厚となる。我々はこの作戦に全てを賭ける」


"全てを賭ける"


その言葉に皆が息を呑んだ。

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