第12章 #12 女型の正体
「団長、私も行っていいですか?」
「リリア、お前はその怪我だ。ここにいなさい」
「大丈夫です、歩けるし、作戦だけでも聞いておきたい」
エルヴィンが息を吐く。
ほぼ全身を強打しているのに大丈夫なはずがない。少し歩いただけで痛いはずだ。
しかしリリアの目は力強かった。
「分かった。無理はするなよ」
「はいっ」
「リリアの外出許可を取ってくる。君達は先に行って待機しておいてくれ」
はっ、と返事をすると皆は部屋を出た。
待っていなさい、とエルヴィンも続いて部屋を出ると、一人残ったリリアは厳しい表情で窓の外を見つめた。
女型の捕獲、絶対に成功させたい。
仇を取れなかった彼らのためにも絶対に。
ギュッと握りしめた手に、ズキンズキンと痛みが走る。
「っ…」
「リリア、大丈夫か?」
エルヴィンが許可を取ってきたのだろう、羽織る上着を持って部屋へ戻ってきた。
リリアは笑うが額には汗が滲んでおり、とても大丈夫ではなさそうだ。
エルヴィンが上着をリリアにかける。
「本当に歩けるか?」
「うん、大丈夫」
ベッドから降りようと体に力を入れると同時に激痛が走る。
リリアは歯を食いしばり一瞬動きを止めるが、ゆっくりと床に足を付け立ち上がった。
「いっ……」
「リリア」
「大丈夫!行こう」
弱音を吐くわけにはいかない。
リリアはゆっくりと足を前に出し進み始めた。