第11章 #11 叶わなかった約束
「礼を言う…」
「いえ、それならディターさんに…。彼らが命がけでリリア兵長を連れてきてくれました」
「そうか…」
「リリアっ!!」
リリアの救出を知ったエルヴィン、ハンジ、そしてミケが駆け寄る。
エルヴィンはしゃがむとリリアの手を取った。
「大丈夫だ。生きている」
リヴァイの言葉にエルヴィンは下を向いた。
一度は諦めたリリアの命、それが今、弱々しいがここにある。
こんなにも胸が苦しい事があっただろうか。
「良かった……」
「リリア!リリアっ!!!」
ハンジも泣きながらリリアの体を抱きしめた。
やめろ、とリヴァイが止めるがハンジは離さない。
「だって…だって……あんなに探したのに…諦めたのに…無事に戻ってきたらもう……」
「分かっているから離れろ」
ミケがハンジを引っ張った。
グズグズになっているハンジの顔を見てエルヴィンが小さく笑うと、アルミンとジャンを見た。
「リリアは私が連れて行く。ここまで運んでくれて感謝する」
「はっ!!」
アルミンとジャンは敬礼をし、リリアを抱き上げ移動するエルヴィンを見送った。
リリアは先頭部隊の荷馬車へと運ばれ、傷の応急処置が施された。
頭を大きく切っており出血が酷い、おそらく全身も強く打っているだろう。
体の至る所に打撲痕がある。
エルヴィンは何度も何度も頬を撫で、リリアの体温を確かめた。
「リリア……すまなかった……」