第11章 #11 叶わなかった約束
その頃リヴァイは一人ディターの元へ向かった。
自分のした行動により巨人を引きつけ、ユルゲンも失い、気を落としてしまっていた。
「リヴァイ兵長…自分は…」
するとリヴァイはポケットから調査兵団の証であるエンブレムを取り出し、ディターに渡した。
「これが奴らの生きた証だ。オレにとってはな。イヴァンの物だ」
「兵長……」
ディターから涙が溢れる。
死んでしまった者はもう戻らない、しかし彼らは生きていた。
命を賭けて戦った。
その証がここにある。
「…それから……リリアの事、礼を言う……エルヴィンも、そう思っている」
はい、とディターは泣きながら返事をした。
そして調査兵団はカラネス区へと帰還した。
ボロボロの兵士達、住民達が団長であるエルヴィンにかける言葉は厳しいものばかりだった。
今回の壁外遠征でにかかった費用と損害による痛手は、調査兵団の支持母体を失墜させるには充分であった。
エルヴィンを含む責任者が王都に招集されると同時に、エレンの引き渡しが決まった。