第11章 #11 叶わなかった約束
その頃もう一体の巨人が荷馬車に追いつきそうになっていた。
あと少しで手が届く。
「ダメだ、追いつかれる!!」
「俺がアイツの後ろに回る!一先ず気をそらして……」
「やめておけ。それより遺体を捨てろ。追いつかれる」
後方に下がったリヴァイが荷馬車の兵士に告げる。
遺体を捨てて荷馬車を軽くしなければ追いつかれてしまう。
兵士達は躊躇するがもう迷っている時間はない。
だがそれはあまりにもつらい行動だ。
「しかしっ!!」
「遺体を持ち帰れなかった連中は過去にもごまんといた。そいつらだけが特別な訳じゃない」
痛い…体が痛い…
揺れてる?私は生きてるの?
薄らと戻ったリリアの意識、自分が馬に乗せられているのは分かった。
「うっ……あ」
「え?リリア兵長?気付いたんですか?!」
意識の戻ったリリアに気付きアルミンが声を上げる。
「もう少し頑張ってください!今、巨人から逃げていて!!」
ゆっくりと前方を見ると荷馬車が巨人に追いかけられているのが分かった。
並走しているリヴァイ、彼は今何故戦わないのだろう、すぐそこに巨人がいるのに
「ダメだ…あれじゃあ追いつかれるぜ!!」
隣を走っているジャンがアルミンにそう言うと、彼は歯を噛みしめた。