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誰が為に心臓を捧げる【進撃の巨人】

第11章 #11 叶わなかった約束



調査兵達は巨大樹の森から離れ、カラネス区へと帰還を始めた。
荷馬車にはたくさんの仲間の遺体が乗せられ、周りの兵達の表情も暗い。
森から少し離れたその時、後方の兵士がこちらに向かってくる2体の巨人を発見し、その前方には先程エルヴィンに仲間のイヴァンの遺体を連れ帰りたいと懇願していたディターとユルゲンが走っていた。

しかも彼らの背には誰かが見える。


「あれは……ディター!!」

ディターとユルゲンを確認したペールが赤い信煙弾を上げる。
ディターの背にはイヴァンの遺体が、二人はエルヴィンの命令を無視して彼の遺体を回収しに行ったのだろう。
そして2体の巨人を引き寄せてしまった。
しかしペールにはユルゲンの背中にも誰かがいるように見える。

「あ、あれはっ!!リリア兵長?!アイツら、リリア兵長まで見つけたのか?!」

後列にいたアルミンと同じく104期のジャン・キルシュタインもユルゲンが担いでいるその人物に目を見開く。

「おいっ?!アレ!!リリア兵長じゃねぇのか?」
「行方不明だって言ってた!!発見出来たんだ!!」




「後列が巨人を発見!」
「全速で移動!!」

エルヴィンは戦闘の指示は出さなかった。
こんな平地ではとても巨人と戦えない。

「大きな木も見えなければ建物も見えない。思うように戦えないな」
「壁まで逃げ切るほうが早い」

リヴァイは速度を落とし、後方へ下がった。
このままの速度では巨人に追いつかれる。
特に遺体を乗せ重たくなった荷馬車は速度が遅い。

一番取りたくない方法を取らねばならないかもしれない。


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