第92章 失踪ルート#02 偽りの兄妹
「まずはリリア兵長だけそこに。オレは後から病院に紛れます」
「どういう事?」
「今マーレは中東と戦争をしています。まずオレはその戦争に参加して負傷兵として戻ってきます」
「でも私は……」
「兵長は片腕ですから誤魔化しやすい、すぐ病院に紛れられます。あまり元気だと疑われるので……その辺りはリリア兵長の演技にかかってます」
リリアが先に病院に紛れる事はエレンにとっては少々心配だった。
果たしてリリアの精神がエレンが病院に来るまで耐えられるだろうか。
全く知らない土地でたった一人待つ事となる。
人一倍寂しがりやな彼女が待てるだろうか。
そんな不安が顔に出ていたのかリリアがエレンに先に声を掛けた。
「大丈夫だよ!私ちゃんとエレンを待ってるからね」
「リリア兵長……でもいつオレが行くのか分からないんですよ?それまで一人で大丈夫ですか?」
「必ず来るんでしょ?なら大丈夫!でも心配なのは負傷兵として戻ってくるなら怪我して戻ってくるって事でしょ?それがなぁ…」
エレンが苦笑いをする。
「怪我をしていた方がバレにくいですし、それにオレは巨人ですから。怪我は戻したい時に戻せます」
「でも痛いものは痛いでしょ?」
「そこは我慢です。それくらいの覚悟でオレはこれから進むつもりですから」
分かった、とリリアは頷いた。
「リリア兵長は先程オレが話していた人に手引きさせますから。オレが行くまで潜んでいて下さいね」
「うん!静かに筋トレしとく!」
それでですね、とエレンがリリアを立ち上がらせ鏡の前に連れて行くと、自分も横に立ち鏡の中のリリアを見た。