第92章 失踪ルート#02 偽りの兄妹
暫く眠りには着けなかった。
無理もない、今日は色々な事がありすぎた。
仲間達から離れ、これからこのマーレでどのようにして過ごしていくのだろう。
リヴァイは心配していないだろうか、いや絶対にしている。
エレンを一人にさせないためとはいえ、何も言わずに離れてしまった。
これは必ず大ごとになってしまう。
エレンを止めるどころか手を貸す自分は恐らく兵団を追放されてしまうかもしれない、それならまだ良い、下手をすれば処刑ものだ。
それくらいパラディ島にとってエレンは重要な存在なのだから。
朝になり目が覚めると何やらヒソヒソと話す声が聞こえてきた。
視線を動かし辺りを見るとドアの前でエレンと誰かが話をしている。
自分の知らない人物だ。
「じゃあそれで頼む……あぁ…分かった」
話し終えたのかドアが閉まりエレンは小さく息を吐くと振り向いた。
「エレン……今の誰?」
「あ、リリア兵長。ごめんなさい、起こしましたね。おはようございます」
「おはよう」
「今のは昨夜言っていた協力者です。今後の事で話をしていました。リリア兵長にも話しますね」
うん、とリリアは髪の毛をパッパッと整えるとベッドの端に座った。
エレンもその隣に腰を降ろしリリアを見る。
「オレ達はこれからレベリオにあるエルディア人収容区に移動します」
「エルディア人収容区……のどこに隠れるの?」
「病院です。そこには戦争で傷付いた者や精神的に病んでしまった人達がいます。そこに紛れ込む」
ですが…とエレンが言葉を濁す。