• テキストサイズ

番犬で狂犬の恋は真剣【ヒプマイ夢】〘二郎夢〙

第1章 不良少年とビッチ(?)なあの子




予想外な事に、動けなくて。

鼻をヒクヒクさせながら、匂いを嗅いでいる。

「あんた、いい匂いすんな……何か付けてんの?」

「え、な、何も……」

顔に少しだけ熱が上がるのが分かる。

「へぇ……そんな顔もすんだな……新たな発見」

ニヤリとした顔にドキリとする。心臓がうるさい。

「ダチから聞いた話には、ちょっとだけ続きがある」

顔が離れて、また同じ距離に戻る。

「一匹狼ですげぇテク持ちの、誰にも靡かないクールビューティー」

クールビューティーって、初めて言われた言葉だ。

「何それ、あははっ……」

面白くて笑っている私に、山田君は変わらないトーンで続ける。

「あんた美人だし、クールってのもあってんだろ。男子に結構人気らしいぜ」

ヤりたいだけの年頃の男に好かれても、特に嬉しくはない。

「山田君は?」

それでもやっぱり、彼には私がいない前の生活に戻ってもらわないと。こんないい人、巻き込みたくはないから。

彼は今更冷たくしても意味がないだろう。

フェンスを背にしてる山田君に、体を押し付ける。

「山田君には、私は人気ある?」

胸の辺りに手を添わせ、上目遣いに見上げる。

絶句している山田君を追い詰める。

これで離れてくれるといいけど。

「……あるって言ったら、どうすんの?」

これは、予想外だ。まさか、抱き返されるとは思わなかった。

腰に回された手の部分が、熱い。

目を見るだけで赤くなって逸らす彼なら、迫れば逃げると思ったのに。

私の予定は狂った。

オッドアイが私を捉える。体が、ゾクリとして熱くなる。

彼はなかなか私の手には負えないかもしれない。

「はぁ……君はどうやったら離れてくれるの?」

「もう無理だな。興味持っちまったし」

ニカっと笑った顔が、無邪気でやっぱり可愛くて。

私も相当彼に興味を惹かれているらしい。

体が勝手に動いた。彼の顔を両手で挟んで、引き寄せる。

唇がゆっくりと触れた。

ただ、触れているだけなのに、体が熱くて、疼いて、たまらなくなる。

これ以上は、ダメだ。

山田君の体を押して離れる。

激しくしたわけでもないのに、息があがって、荒くなる。




/ 30ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp