第2章 〔二郎side〕
学校以外でと一緒に歩くのも、不思議な感じだ。
結構浮かれてる俺がいる。
「痛っ……」
「っと、危ねっ……」
通行人と肩がぶつかって、よろけるの腕を掴む。
「フラフラすんなよ、人多いんだから」
「普通にしてるんだけどなぁ……じゃぁ、はい」
手を差し出される。
不思議に思い、それを見つめてると、満面の笑みでこちらを見る。
「鈍感だなぁ。もー、仕方ない」
俺の指に、の細くてしなやかな指が絡まる。
これは、恋人繋ぎというやつだ。
心臓が、壊れそうなくらい高鳴る。に聞こえてしまいそうだ。
「女の子と手繋ぐの初めて? 緊張してる?」
「っせー。ほっとけ」
手汗が凄い事になってるのに、離したくなくて。も特に気にする様子もなくて、満足そうに笑っている。
余裕かよ。
「何かこうしてると、新婚さんみたいだね」
「しんっ……なっ、何言ってんだっ……」
顔が熱くなる。またからかったのか笑っているに、悔しくなって顔を近づける。
「嫁に来る?」
驚いて目を見開くの頬が染まって、俯いてしまった。
勝った、と思った。
「そのプロポーズはズルいなぁ……」
困ったような、はにかんだ笑顔を向けられる。
また初めて見る顔だ。負けたと思った。
「あ、ちょっと待ってて」
突然手が離れ、走り出した。
しゃがみ込んだを追うと、年配の女の人の落とした荷物を一緒に拾っていた。
礼を言う女の人に、笑顔を向けてこちらを振り向いた。
「ごめんね、行こっか」
自然と指を絡めるの腕を引っ張る。
再び向き合う体勢になり、俺を見上げるを見つめて言う。
「次の休み、どっか行かね? 二人で」
認めざるを得ない。
俺はこいつが好きなんだ。こいつへの感情は、恋愛感情だ。
もっとこいつの色んな表情とか深いとこも知りたいし、こいつに触れたい。
俺だけのものに、したい。
「……ん、行く」
少し頬を染めて、嬉しそうな顔をして頷いた顔がやっぱり可愛くて、たまらなくなる。
抱きしめそうになる手に、力を込めて耐えた。