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番犬で狂犬の恋は真剣【ヒプマイ夢】〘二郎夢〙

第1章 不良少年とビッチ(?)なあの子




乱れを整えるように、私の髪を撫でてくれる。

「彼女達を責めても、何の意味もないしね」

そう言って笑ってみせるけど、動かした膝の内側辺りがピリピリと痛んだ。

倒れた時に何かで切ったようで、少し血が滲んでいる。

突然、二郎の手が私の足に伸びた。

「ちょ、何……っ……」

二郎が、私の足を持ち上げ、傷の部分に顔を近づけた。

「んっ……」

二郎が傷を、舐めた。舌が這う感覚に、ゾワリとする。

「二郎っ、やめっ……っ……」

「嫌なら、もう俺の知らねぇとこで、怪我なんかすんじゃねぇ……」

心配してくれているようで、眉間の皺がまた深くなる。でも、傷を舐めるのをやめる様子はない。

「じ、ろっ……も、いいっ、からっ……」

開かれて持ち上げられた足の間から、舌を這わせる二郎のオッドアイと目が合う。

そこには、いつもの恥ずかしがり屋で動揺する姿はなく、男の顔をした二郎がいた。

この豹変具合はよろしくない。

心臓が物凄い勢いで動き出す。

「っ……ぁっ……」

痛いのに、二郎が傷とその近くにキスをして、舐めて、吸い付く感触が、私の体に快楽をもたらした。

「エロい顔してんじゃねぇよ……」

「誰のっ、せぃ……んっ……あっ……」

「まぁ、俺だな……」

こんな二郎、知らない。

足だけで、こんなになるなんて、凄く困る。

獲物を捉えた獣のような目をして、二郎が私を誘惑する。

二人して興奮しているのが分かる。

二郎の唇が足から離れ、もう片方の足に手が滑る。そのまま、体が割入って来る。

顔が近づく。

キス、される。と思った瞬間、チャイムの音が鳴って、二郎が目を見開く。そして、みるみる顔が赤くなっていく。

いつもの、二郎だ。

「わっ、悪いっ! 俺、何やってっ……」

「ぷっ……あははははっ!」

「な、何だよっ!?」

真っ赤になりながら焦って後ろに飛び退いた二郎が、尻もちを付いて口元に手を当てている。

自分から仕掛けといて、今更照れるなんて、ほんとに彼は面白い。

「今更恥ずかしがるとか可愛すぎでしょ、あはは」

笑う私の頭をくしゃくしゃとして「可愛い言うなっ!」と二郎も笑う。

こんな時間が、続くといいと願ってしまう。

ずっとなんて、ないのに。
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