The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
面白くない…。
その言葉に少し戸惑いを浮かべていれば、三ツ谷先輩は小さく笑っていた。
「口説き文句がお得意のようで」
「ははっ。別に口説き文句じゃねぇんだけどなぁ」
「あまり女の人が勘違いしそうなセリフは言わない方が良いですよ。その内勘違いして逆上せあがった女に刺されるか、殺されかけるかもしれませんよ」
実際にさっきいた修二が刺されそになっていたけど。
アレなんだっけ、1晩寝た女が自分は修二の彼女『歌舞伎町の死神』の女なんだと言いふらしていたけど修二に『お前ダリィ』て言われて捨てられて恥かいたらからと刺されそうになったんだ。
丁度刺されそうな場面に俺が遭遇して、止めようとしたら女が持っていた包丁が思いっきり頬を掠めた。
んで修二が怒って女を殺しかけそうになって危なかったのは覚えている。
(なんで俺が幼馴染のドロドロ恋愛事情に巻き込まれなきゃいけねぇんだよ……とは思ったが大切な幼馴染に手ぇ出そうとする奴は何があっても許さないけど)
今頃あの女はどうなってらかな。
世間的に今は死んでいるだろうけど…と心で呟き思わず笑いそうになるがグッと我慢。
「オレは別に勘違いしてほしくて言ってるんじゃねぇけど」
「ならあの台詞言うの、俺以外の人にしてください。俺にはその言葉を貰っても……どうしようもないんで」
男として生きているのに恋愛なんて出来ない。
それに今は夢を叶えるために、あの人との約束を守る為にも恋愛なんてしている暇はないのだから。
「和泉、今からクレープ食べに行かねぇ?」
「クレープですか?」
「そ、前に幼馴染と行ったクレープ店が美味くてさ」
三ツ谷先輩はそう話しながら、いっぱい取ったお菓子をゲーセン内に置いてある袋に入れていた。
そしてクレープ店に行くのにゲーセンを出るのだが、俺は三ツ谷先輩の背中を見ながら目を細める。
たった2日。
たった2日しか会ってない俺を何でそんなに気に入っているんだろうかと不思議に思いながら。
(アレかな…龍宮寺先輩が三ツ谷先輩は庇護欲が強いって言ってたし、俺の家庭内の話をしたから俺をこうして構ってくれているのかな)
変な口説き文句を言っている時も笑っていたし、遊び半分と構ってくれているのが半分。
そうまるで自分に言い聞かせるように思いながら、三ツ谷先輩の後を追った。