The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
和泉と八戒の声に、三ツ谷は後ろを振り返った瞬間だった。
「撲殺」
ガコン……という鈍い音が響き、三ツ谷は青宗の握る鉄パイプで殴り飛ばされていた。
「隆さん!!!」
「タカちゃぁああん!!!」
倒れた三ツ谷の元に2人が駆け寄る。
「どうだ?オレの情報は?10万の価値はあったろ?」
ブーツの踵を鳴らしながら九井が入ってきた。
舌を舐めながら、相変わらずの飄々とした表情で三ツ谷の傍に座る和泉へと視線を向ける。
「隆さん!隆さん!!」
「タカちゃん!!!タカちゃん!!!どうしようタケミチ!!!タカちゃんがっ!」
2人がいくら呼びかけても三ツ谷はピクリとも動かない。
そんな彼を見て和泉は荒い息を吐き出しながら、身体を震わせ始める。
あの時の光景を思い出す。
血まみれで倒れ、ピクリとも動かない叔母と従姉妹の姿を。
「あ……あっ……」
息が苦しい、息がしにくい。
和泉はパニックになりかけていた。
そんな様子を見ながら青宗は静かに言葉を投げる。
「当たり前だ。思いっきりぶん殴った」
「ハハハハ!!さすが、乾!!!このまま全員ぶち殺してやれ!!ハハハハ!!!」
大寿の笑い声が礼拝堂に響き渡るその時だった。
「「何してくれちゃってんだ、コノヤロぉぉ!!!」」
武道と千冬の叫び声が木霊する。
「ハハハハハ!かかって来い!!クソガキ共!!!」
和泉は三ツ谷の身体を揺さぶる。
何度も何度も揺さぶり、目にはいつの間にか涙が浮かんでいた。
「隆さん……隆さん……」
「タカちゃん!!!どうしようタケミっち、タカちゃんが動かねぇよ!!」
「「黒龍!!!絶ッ対ェ許さねぇぞコラぁあ!!」」
三ツ谷がやれた怒りに千冬と武道は、殴り掛かる為に走り出す。
「うぉあぁ!!」
その時、2人を制する声が響く。
「待て!!オマエら!」
「え?」
聞こえてきた声に、武道と千冬は慌てて振り返る。
「三ツ谷君!!」
振り返った先には、和泉に支えられながらもなんとか立ち上がっている三ツ谷の姿。
殴られたせいなのか額からは血が流れていた。
「オレは平気だ。だから、ちょっと落ち着け」
「タカちゃん!?無理すんなって!」