The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
トイレへと向かう三ツ谷先輩を見送ってから、トイレ近くのソファに腰をかけた。
そして目を瞑っていればゲーセンの騒がしい音と共に、人の話し声が聞こえてくる。
にしても三ツ谷先輩といると、不思議だが落ち着く所があって疲れない。
気遣われているかなのだろうか。
「それにしても……」
愛美愛主というチーム。
久しぶりに最低な屑共の話を聞いたな…と思いながら視線を地面へと投げる。
するとカツン…という足音が聞こえて俺の足元に違う足が見えて顔を上げれば……。
「よぉ。ウィッグ外して男とデートか?」
「修二…。お前、なんでここに?」
「ちょーっと用事でなぁ?んで用事で来てみれば、知らねぇ男とデートしてるお前を見つけてな」
そう言う修二は何処か不機嫌だった。
愉快犯なコイツが不機嫌そうにしているのも、それが顔に出ているのも珍しくて思わず目を見開いてしまう。
煙草を指に挟んでおり、その煙草がミシッと音が鳴りそうな位の強さが込められている。
しかも目が細めて光が消えていた。
「何で不機嫌なんだよ」
「理由、分かんねぇの?」
「分かってたら聞かねぇよ」
「お前がオレ以外の男といて、しかもこうしてウィッグ外してるから」
修二は煙草を持っていない手を伸ばしてきて、俺の髪の毛を手に取る。
そして流すように手から髪の毛を落としていく。
「何?嫉妬でもしてんのか?」
「してるぜ。嫉妬」
「………はぁ?」
思わずはっきり言われてしまい、思わず間抜けな声が出てしまったのと目を大きく見開かせてしまった。
確かに薄々嫉妬してるのかなと思ったが、まさか正直に言われてしまうとは。
拍子抜けというよりも驚きすぎてヤバい。
そう思いながら、修二の黄金色の細められた瞳を見ていれば困惑した俺の顔が写っていた。
「オレ以外の男と仲良くしてんのは嫉妬すんなぁ」
「お前……風邪でもひいてんの?何バカ正直に答えてんのさ…何時もならはぐらかす癖に」
「たまには正直にいねぇとな」
修二は無表情のまま腰を屈めて、座っている俺と目線を合わせてくる。
黄金色の瞳には嫉妬の色が浮かんでいた。
「あんま嫉妬させんなよ、和泉。ふぅー」
すると修二は煙草を口にしたかと思えば、白い煙を俺の顔へと吹きかけてきた。
思わず目を瞑って顔を顰めたが直ぐに睨みつける。