The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
三ツ谷は朝早くからホールケーキを制作していた。
早朝の3時に起きてからホールケーキを制作して、他の料理を作ってと色々と作業をしてきた。
(母ちゃんに笑われちまったんだよなぁ……『和泉ちゃんの誕生日だからって張り切ってるね』なんて)
張り切るに決まっている。
初めて出来た最愛の恋人の誕生日なのだから。
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「お邪魔します」
「ただいまぁーって、あれ?母ちゃん、ルナマナ?」
三ツ谷宅に来てすぐ、2人は顔を見合せた。
何時もなら直ぐに妹であるルナとマナが走って飛び付いてくるというのに、今日の家の中はやたらと静かである。
おかしいな。
三ツ谷はそう思いながら部屋に入れば、母親も妹達の姿もそこにはない。
「出掛けてんのか……?」
「遊びに行ってるのかもしれませんね……あれ?隆さん、置き手紙ありますよ」
「ん〜?お、ホントだ」
机の上には1枚の置き手紙。
三ツ谷はそれを拾い上げてからギョッとした。
『隆、和泉ちゃんへ
今日は折角の和泉ちゃんの誕生日だし、恋人になって初めての誕生日でしょう?
2人で過ごしてね!
ちなみに私とルナマナはルナマナのお友達の家でクリスマスパーティーして1泊してきます
誕生日お祝いは明日するね♡
2人でごゆっくり
母より』
2人は手紙を読み終えて固まる。
「マジか……母ちゃん、変な気遣いしやがって……」
「つ、つまり今から明日まで……」
そう、今から明日まで2人っきり。
2人はその事に黙りとしてしまい、和泉は視線をキョロキョロとさせてしまう。
「母ちゃんに感謝しとくかな」
「え?」
「和泉の誕生日に、和泉を独り占め出来るからな」
ニヤリと笑う三ツ谷に和泉は顔を赤く染める。
「2人っきりを楽しもうな」
微笑みを浮かべた三ツ谷はゆっくりと和泉に近寄り、そして和泉は何をされるかを察して瞳を閉じる。
唇が重なる。
そう思った時だった。
チャラリーン♪
携帯のメールを受信する音楽が鳴る。
その音楽が聞こえた瞬間、2人は目を開けてから動きを止めた。
「あ……私の携帯……」
携帯の音楽は何回も鳴り、数着のメールが来ていることを知らせていた。