The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
うん…と自己満足していれば、ふいに三ツ谷先輩の顔が近づいており髪の毛を一房掬われる。
そして私の髪の毛に鼻を近づけてクンッと匂っていたので、思わず体を引いた。
「え、な、…何ですか?」
「いや…良い匂いがすると思ったら和泉からだったから。香水つけてんの?」
「あ、ああ…。いや、香水じゃなくて椿油付けてるんです」
「へぇー椿油か。だから艶が良いんだな」
そう言いながら三ツ谷先輩は俺の髪の毛をずっと弄っていて、『触り心地がいい』なんて言っている。
別に触っても良いが人通りがある場所で、急に近づいて匂わないでほしい。
さっき色んな人が此方に目を向けていたし。
流石にアレは恥ずかしいな…なんて思っていれば、じわりと頬が熱を持っている気がした。
「和泉、なんか顔赤くねぇか?大丈夫か?」
「だ、大丈夫です」
赤くなってんのはアンタのせいだよ。
往来で凄い近づくから思わず恥ずかしくなったんだよ、と心で色々文句を言いまくった。
「っ……あそこにいるの」
すると途端に三ツ谷先輩の表情がガラッと変わる。
鋭い目付きに眉間に皺を寄せていて、こめかみに青筋が浮かんでいた。
そして彼の目線の先を見れば、白色の特攻服を身につけている男たちがいた。
刺繍を入れてある文字を見れば『愛美愛主』と。
「あいび……?」
「メビウスだ。愛美愛主でメビウス」
「なるほど…。あの特攻服の男らがどうかしたんですか?」
「東卍のメンバーのダチがアイツらにリンチされてな…しかもそのダチの彼女がレイプされた挙句殴られて、今病院で入院中だ」
「……糞共って訳ですか」
俺の眉間にも皺が寄った。
愛美愛主と言われる奴らは笑いながら歩いているが、周りの通行人は避けて歩いている。
「今日、アイツらの事で集会があんだよ」
「集会、ですか…」
「ああ……。和泉も来るか?集会」
「え……良いんですか?」
「おう。それに多分マイキーが来いって言うだろうし、幼馴染の方も誘われると思うぞ」
東京卍會の集会か。
色々気になるし行ってみるのも良いのと、もし入るならどんな雰囲気か見てみるのも良いだろう。
「行ってみたいですね」
「んじゃ、今日夕方ウチで飯食ったら行こうな」
「集会で確か武蔵神社で行われるんですよね?」
「そうだ」