The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
ホント酷い頭だ。
あんなにボサボサに爆発するモノなのかと、驚いていれば佐野先輩と目が合った。
「メンズの服着てんだ」
「え、まぁはい…」
「ふーん。あ、そういえば昨日三ツ谷からお怒りの電話もらってさー。まさか三ツ谷と会うとはね!」
「おー、マイキーの所にも来てたか」
面白げに笑う2人を見ながら、ふと視線を向けた際に写真が置いてあった。
茶色の写真立てには見覚えのある写真が飾られており、そこには真一郎君と鳴海ねぇが写っている。
バイク屋の前で撮っていた写真。
確か真一郎君がバイク屋を開いた記念にと撮っていた写真であった。
「それ、見たことあんの?」
「鳴海ねぇが持ってたので……」
「ふーん。あ、そういえばイズミっちに渡そう思ってたヤツがあんだった」
「俺に、ですか?」
「そー。ケンチン髪の毛ありがとー」
ピョンッとソファから飛び降りた佐野先輩は、何かダンボールを手にするとカーペットの上に胡座をかく。
そして俺へと手招きをしてきたので、近くに寄ってその場に座った。
「これ、真一郎の遺品整理の時に出てきたヤツ」
「……写真」
「そ。でさ、結構な数イズミっちらしい子が映っていてさ」
「……あ、ホントだ」
ダンボールに入っている写真を手にすれば、小さい時の俺や鳴海ねぇに真一郎君や初代黒龍のメンバーも映っていた。
懐かしい写真で俺が持っていない写真も数枚ある。
懐かしい気分でその写真を見ていれば、視線を感じて顔を上げると佐野先輩と目が合う。
何故か目尻を下げて目を細めて微笑んでいる。
「それ、イズミっちにあげる」
「え?い、良いんですか?」
「いいよ〜。その写真さ、カメラから出てきたヤツだからまた現像すれば良いだけだし」
「……ありがとうございます」
沢山の懐かしい思い出たち。
俺の持っていない写真や、知らない写真等があってつい嬉しくなってしまった。
するとコンコンとノック音が響いた。
「マイキー。お茶持ってきたよー、お客さんのも」
「ありがと〜」
「はい、どうぞ………て、え……」
「………え」
部屋の中に金髪の女の子が入ってきて、お互い目が合った瞬間動きが止まった。
そして俺はゆっくりと目を見開かせてその子を見つめる。
知り合いと似ている。
知り合いと言うより、幼馴染とも言える存在の子と。