The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
「河川敷行って考えるか」
川の近くは程よい涼しさがある。
火照った頬とかを冷ますには丁度良くて、ゆったりとした足取りで河川敷へと向かう。
道中学校に向かう学生や、俺と同じ大溝中の制服を着ている人間もチラホラ。
そして武道(未来じゃない)はちゃんと寝坊せず行っただろうかと考えながら河川敷の芝生に座り込んだ。
「涼しい…」
芝生に寝転がりながら、夕方になったら一旦家に戻って三ツ谷先輩のスウェット持って行かなきゃなと思い出す。
そして当時に龍宮寺先輩と三ツ谷先輩も、犯罪組織にいるのかなとぼんやりと考えた。
「……謎だな」
「なぁにが謎なんだ?」
「………へ?」
「サボりか?イズミっち」
顔に影がかかり、聞いたことがある声に驚いて目を見開いていれば目の前に龍宮寺先輩の顔が現れる。
ニヤリと不敵に笑う龍宮寺先輩に驚いていれば、何故か隣に来たかと思えば座った。
「龍宮寺先輩……」
「一昨日ぶり?だな。元気にしてたかー」
「まぁ、元気は元気ですけど……」
「聞いたぜ?昨日三ツ谷にあって、妹ちゃん達襲ってる変質者と間違わられて胸ぐら掴まれたんだってな!」
可笑しそうに笑う龍宮寺先輩の横顔を見ながら、三ツ谷先輩が話したのかなと考えた。
というか龍宮寺先輩はこの時期でもカーディガン羽織っているけど暑くないのだろうか。
「三ツ谷先輩から聞いたんですか?」
「おー。昨日電話あってな、お前女って三ツ谷にバレただろ?だったら『ちゃんと相談ぐらいしろ!!』って怒鳴られちまったわ」
「え、そうなんですか?」
「おー。アイツ妹二人いるだろ?だから女って庇護対象なんだよ。だから相談せずに東卍に入れようとしてる事に対して怒ってんだよ」
成程と納得した部分がある。
俺に対して優しいのも、恐らく『女』という認識で庇護しなければと思ったのだろうと。
そしてルナマナちゃんが本当に大切なんだと確信した。
何せ俺が不審者だと思った時のあの三ツ谷先輩の剣幕はかなり凄かったから。
「にしても、三ツ谷の奴マイキーと同じようにオマエの事気に入ってるみてぇだな」
「え?」
「飯をあれだけ美味そうに食ってくれて嬉しかったのと、頭撫でられると嬉しそうにしてる所が可愛いってよ」
「そんな事言ってたんですか?」
「おー。にしても、三ツ谷にも春が来そうだな」