The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
冷たい手が腫れている頬を冷やしていく感覚に気持ちよさを覚える。
「それより、今は武道とヒナ」
「どうするかな、タケミっち」
全員が見守る中、武道の瞳にはみるみると涙が溜まっていく。
そしてついに大量の涙が頬を流れていき、武道は情けない表情を浮かべる。
「ヒナあぁあ、ゴメン!!!」
突然の号泣にその場にいた全員が固まった。
日向も驚いた表情を浮かべているが、そんな事構わずに武道は涙を流していく。
「オレ……不良だし……お父さんの言う事わかるし。もしオレのせいでヒナになんかあったらダメじゃん!オレ、救うって誓ったのに」
「……?救う……?」
「ヒナぁあ、絶対守るから……!!たとえ……君が死んでも」
「え?何……言ってるの……?タケミチ君……」
「トラックに轢かれても……足の感覚なくなっても……何度でも守るから!!別れるのはナシにしてくんねぇかなぁぁ?」
号泣しながら、自分の気持ちをぶつけてきた武道に日向は目元に涙を浮かべる。
「初詣」
「……え?」
「連れてって」
「……え?それって……じゃあ……」
「仲直り」
日向の優しい微笑みに武道の涙は益々溢れていってしまう。
「ヒナぁぁぁ」
「ホラ、もー、泣かないでよー」
「だってよぉぉ」
「ちょっとー」
そんなやり取りを見ていた和泉は嬉しげに微笑んでいた。
大好きな人達が別れずに、仲直り出来たことが何よりも嬉しくて、目元が少しだけ熱くなる。
(どうか……12年後の未来でもあの二人が一緒にいれますように……)
そう願いながら隣を見た和泉はギョッとした。
隣でエマが大号泣しており、和泉は苦笑を浮かべる。
「よかったねー、ヒナぁぁ」
「……なんでエマが泣いてんの?」
「あーあー、大号泣して……」
「エマちゃん、泣きすぎだろ」
和泉はエマの頭を撫でながら、武道と日向の方へと視線を向ける。
その姿が、真一郎と鳴海と重なるな……と思いながら。
「女に弱くて、喧嘩も弱くて。でもいざって時は頼りになる。ホント“あの人”みてぇだな。タケミっちは!」
ドラケンの言葉にマイキーと和泉は微笑む。
「……ああ」