The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
『えー!!すごい偶然!』
『ヒナも毎年クリスマスにこの神社来てる!』
『ウッソ!!ここにも変わり者!!へーじゃあさ、ウチらもむとずーっと前から出会ってたのかもね』
『ふふ、確かに』
『……で?何、お祈りしてたの?』
日向は説明した。
武道に別れを告げられた事、そして自分の父親がそう仕向けた事を。
説明されたエマは苦い表情を浮かべる。
そして日向の気持ちも、武道の気持ちも同時に理解出来た。
『……なるほどねー、アンタの親が出てきたかー。それはタケミっち的にはしんどいね……』
『ウン……』
『でも親に言われたからって……よし!この件はウチに任せな!』
『え?』
『まずは和泉……あ、駄目だ。和泉、今日三ツ谷と誕生日デートだ。なら、ドラケンかな!』
エマは直ぐさま携帯を取り出すと、電話帳からドラケンの名前を探してすぐに電話をかけた。
『あん?タケミっち?マイキー、エマがタケミっちどこにいるか知らねぇか?って』
『知らねぇよ』
『俺らは知らねぇよ。イズミっちに聞けば?あ、駄目か。イズミっちは三ツ谷とデート中か。あん?タケミっちを捜せ?面倒くせぇ……クリスマスだぞ?』
『ケンチン!戻ろうよ。さっきのインパルスの音、やっぱ三ツ谷だ。タケミっちも一緒かもしんねぇ!!』
『タケミっち絶対連れて来てね!ヒナん家の前で合流ね!よし!行くよ、ヒナ!!』
『え!?待ってよ!!タケミチ君に会うの!?』
『何!?好きなんでしょ?ウジウジしない!!言いたい事伝えな!!』
『でもっ……今、タケミチ君と会ったら何も言えない……泣いちゃうかも……』
それが数時間前のやり取り。
和泉はそのやり取りをエマから聞いて苦笑を浮かべた。
本当は和泉は無理やりにでも武道と日向を復縁させようと思っていた。
それが先回りされたなと思いながら、武道と日向の方へと視線を向ける。
「そんな事、あったんだ」
「うん。ていうか、和泉、アンタなんで頬腫れてんの!?」
「ちょっとやり合った」
「その姿で!?誕生日にまで抗争なんてやめてよ!三ツ谷、アンタも止めなよ!」
「止めたんだけどなあ……」
三ツ谷はため息を吐き出しながら、和泉の腫れている頬を優しく撫でた。