The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
一方、武道は聞き慣れたバイクの排気音で目が覚めた。
「ん?あれ?オレ……寝ちゃってた……?」
「起きたー?タケミっち」
「マイキー君!?え?みんなは?」
「解散した」
武道はいつの間にかバイクに乗せられている事、いつの間にか皆が居ないことに戸惑っていた。
「着いたぞ」
だが一番困惑したのは、マイキーがバイクを停めた場所。
そこは日向が住んでいるマンションの近くにある公園だった。
「へ?……ここって……」
辺りをキョロキョロしていれば、自分のすぐ後ろにバイクが停止していた。
よく見れば三ツ谷と和泉であり、二人はバイクから降りると武道に微笑む。
「ちゃんと話せよ」
「え?」
和泉の言葉に疑問を抱いき、公園の中に入った瞬間武道は固まった。
目の前に別れを告げた日向がいたのだから。
「え?ヒナ?」
「また喧嘩?」
優しい彼女の声に武道の視界は涙で揺れた。
ー数時間前ー
『お父さん!タケミチ君に何言ったの?』
『すまない、ヒナタ。でもお父さんの気持ちもわかってくれ。せめて不良じゃない子を好きになってほしい。オマエにな幸せになってほしいんだ』
日向は父親の言葉を思い出しながら、神社に祈りを捧げていた。
そして同時に父親に言い放った言葉を思い出す。
『……お父さんはお母さんの何が好きになったの?世間体?違うでしょ?ヒナはタケミチ君の中身が好きなの!タケミチ君は不良だし頼りなく見えるけど、ホントはすごい優しくてあったかくて、ヒナがどんな辛い時だって絶対助けてくれる人なの!!タケミチ君を“不良”なんて言葉で一括りにしないで!!』
日向はそう叫ぶと家から飛び出した。
そして神社に祈りを捧げた。
(神様、どうかお願いします……)
『クリスマスに神社でお祈りする奴いる?』
突然声をかけられ、身体を跳ねさせた日向は慌てて振り返ってから驚いてしまった。
そこには親友であるエマの姿があったのだから。
『エマちゃん!?』
『やっぱヒナか!』
二人は神社の近くにあるベンチに腰掛けた。
『え!?エマちゃんもお祈りしに来たの!?』
『上の兄貴が毎年クリスマにここにお祈りしに来ててさ。変な奴でしょ?それについて行ったらなんか毎年の行事みたいになっちゃって』