The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
声をかけるが武道は反応がなく、千冬はキョトンとしながら彼の方へと視線を向ける。
「……タケミっち?」
武道は荒く息をしながら、目の前の光景を呆然と見ていた。
(大寿も八戒も柚葉も三ツ谷君も、みんな……生きてる。一人の犠牲者もなく……クリスマスを終えれた……)
未来を変えれた。
過去をこうして変えれたのだと、武道は涙を浮かべた。
誰一人も死なない過去を作れたのだと。
「ミッションコンプリートだ」
「だな!」
「良かったな武道」
千冬と和泉は笑みを浮かべたその時だった。
武道の体は横へと傾き、そのまま倒れてしまう。
「武道!?」
「タケミっち!?」
慌てて和泉が駆け寄り、武道の身体を仰向けにした。
「……失神しただけか」
息はしているが、どうやら疲れや怪我のせいで失神したようで和泉は安堵の息を漏らす。
あれだけ無理をしたのだから無理もないと思っていれば、三ツ谷が近づき武道をおぶった。
「ありがとな、タケミっち。マイキー……ドラケン、オマエらのおかげで黒龍に勝てた。でも今日の一等はタケミっちだ」
「……お疲れ様、武道」
「三ツ谷。タケミっちをオレのバブの後ろに乗せて」
マイキーは教会の前に停めていたバブへと近付くと、軽い身のこなしで跨る。
そして顎で後ろを指し、武道を乗せるように三ツ谷に伝えた。
「良いけど……どっか連れて行くのか?」
「ヒナちゃんの所」
「ヒナの所に?」
「そ。話し合いさせなきゃなんないでしょ?ヒナちゃんとタケミっちは」
どうやらマイキーは日向と武道が別れた事を知っているらしい。
誰から聞いたのだろうかと和泉は悩みながら、バブのタンデムに乗せられている武道を見る。
「じゃ、解散な」
「あ、私も行きます!」
「イズミっちも?」
「気になりますし……それに、2人にはこのまま、別れたままではいて欲しくないですから」
「そうだね。三ツ谷と着いてきなよ」
そうしてマイキーは武道を連れて、三ツ谷は和泉を連れてバイクで走り出した。
「すみません、隆さん。帰って手当するべきなのに」
「良いって。オレもタケミっちとヒナちゃんの事は気になるからさ」
帰ったら直ぐに手当しよう。
和泉は三ツ谷の背中を抱き締めた。