The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
「そのぐらいお易い御用だ。ていうか、毎日来ても良いんだぜ?」
「毎日は流石に申し訳ないです…」
毎日は食費とかも光熱費とかもかかるだろうし。
でも毎日ぐらい食べても良いなと思うけど、きっと暖かいモノに当てられて今からの人生に困る。
「それでは失礼します」
「ああ。じゃあな」
玄関を出ていけばもう暗くて、そろそろ掲示板にあった花火が打ち上げられるだろう。
そう思いながら1度三ツ谷先輩のアパートを見てから、ゆっくりと歩き出した。
不思議な人だった。
暖かくて下心なく接してきて、心が暖かくなってたまらなくて……。
そう考えていると携帯がバイブ音を鳴らして揺れていた。
「……もしもし?」
『待ってるぜ』
「メールしてきて、電話もしてくんのかよ」
『メールだけじゃ来るか分かんなかったからな』
「……今、向かってるから大人しく待ってろ」
『りょーかい』
楽しげに聞こえる声に眉間に皺を寄せて、俺は修二が待っているある場所へと向かった。
そこはあのファミレスなんかじゃない場所。
(ファミレスという綺麗な場所じゃないしな)
そう思うと背後で『ドンッ!』という音が聞こえて、振り向いて見れば色とりどりの花火が打ち上げられている。
赤に緑や青という花火を目を細めて見てから、また背を向けて歩き出した。
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ー六本木ー
六本木に来るのは久々だ。
たまには足を向けて来るのだが、殆ど来ないので辺りを見ながら歩いていく。
そしてとある店に着くとその扉を開けた。
「いらっしゃいませ〜。て、あらぁ和泉君じゃないの」
「ママは?」
「今お客さんの所ですよ〜。修二君ならVIP室に案内してますからねぇ」
「ありがとう」
俺が入った店はホステス集まる店。
所謂キャバクラであり、話しかけてきた嬢に手を振ってから奥にあるVIP室へと向かいその扉を開けた。
このキャバクラの名前は『Demon』と言ってイギリス語で『悪魔』という意味がある。
そしてこの店のオーナーは修二に喧嘩売ってボコボコにされて半殺しにされて、今じゃ修二に頭ペコペコ。
「もう飲んでのかよ」
「飲んでるぜー」
「急に呼びやがって…。何時もとか言ってるけど、俺は久々だからな」
「あーそう言えばそうだったなぁ」
「はぁ……」