The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
「ん、着替えたか」
「はい。お部屋貸してくださってありがとうございます」
「おう」
「このスウェット、洗って返しますね」
流石に洗って返さなければ失礼である。
まぁ俺は洗濯機の使い方なんて分からないので、吉塚さん……俺が幼少期からお世話になっておるお手伝いさんに教えてもらわなければならない。
「いや、それは別にしなくても良いけど」
「いえ。お借りしたものなので」
「……ホント、お堅いな。んじゃ頼むな?」
「はい」
洗って返すけど、今日洗って乾燥機かけたら明日には返せれるかなと考えた。
するとパタパタと足音が2つ聞こえてきて、ひょっこりとルナマナちゃんが顔を覗かせる。
髪の毛は乾かしてないのか湿っていて、手にはドライヤーが握られている。
そして俺を見るとパチッと一つ瞬きをした。
「和泉お姉ちゃん帰るの?」
「帰るのー?」
「ああ、うん」
「明日も来るでしょ?」
「え、……あ」
「来るよな?晩飯の時約束したもんな」
圧ある言葉に思わず三ツ谷先輩を見る。
まぁ約束したし服返すに来ようと思っていたから良いけど、なんでこの人は逃げれないような言い方をするのだろうか。
「来るよ」
「やった!!」
「来てね、お姉ちゃん」
「うん。あ…そうだ一つお願いがあるんだけどね」
「「なぁに?」」
「こうやって三ツ谷先輩の前なら『お姉ちゃん』て呼んでも大丈夫だけど、人前では『お兄ちゃん』て呼んでね」
ホントは女である事はバレちゃいけない。
なのに直ぐに三ツ谷先輩にルナマナちゃん、佐野先輩に龍宮寺先輩にバレている状態。
これが両親とかに知られたら大事だ。
なので普段人前では『お姉ちゃん』なんて呼ばれるのはかなり困るのだ。
「分かった」
「約束ね!」
「ありがとう。じゃあ俺帰りますね」
買えると言っても家には帰らないけど。
アイツに呼ばれているから…と思いながら携帯に送られてきていたメールの内容を思い出していた。
「送っていこうか?」
「いえ、結構です。色々今日はありがとうございました」
「いや。こっちこそ色々迷惑かけちまってごめんな?なんか詫びしねぇとな」
「………じゃあ、明日意外の違う日にまたご飯食べに行っても良いですか?」
明日意外の日にも1日だけでも良いから、また暖かいご飯が食べたい。