The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
なんかこっちが小っ恥ずかしくなる台詞を言うし、佐野先輩と同じで調子狂わされるな。
そう思いながら眉間に皺を寄せていたが、ちょっとだけ頬が熱くなっていた。
するとピーピーという機械音が聞こえてくる。
恐らく乾燥機が止まったのだろう…三ツ谷先輩はお風呂場の方へと目を向けていた。
「乾燥機止まったみてぇだな。ちょっと取ってくる」
「ありがとうございます」
「礼は、要らねぇよ」
微笑みながら三ツ谷先輩はリビングから出ていき、俺はその背中を見てから少し息を吐く。
そして鞄を引っ張り中から携帯を取り出せば、修二からメールが入っている。
「メール…」
開いてみれば『何時もの』だ。
まぁ行っても良いかと溜息を零していれば、足音が聞こえて其方へと目を向ければ三ツ谷先輩が俺の制服を持って戻ってきていた。
「制服、ちゃんと乾いてたぜ。麦茶のシミも落としてるから大丈夫だぜ」
「ありがとうございます。あ……」
「どうした?」
「いや…柔軟剤良い匂いだなと思って」
柔らかい匂い。
キツイ匂いでもなくて、優しいくて鼻につかない匂いは好きになりそうなものだ。
そう思いながらカッターシャツを匂っていれば、三ツ谷先輩が柔い笑みを浮かべていた。
何で笑っているのだろうと眉を寄せてしまう。
「何ですか?」
「いや、可愛いなと思ってな」
「……なんかクズ男と同じような台詞を言いますね」
「く、クズ……。ははっ、まぁ軽い言葉吐けばそう思われるよな。あ、着替えはそこの部屋でしてくれ」
「分かりました。使わせてもらいますね」
三ツ谷先輩が指さした部屋に入ってみれば、恐らくルナマナちゃんのであろう布団が敷かれておりおもちゃ箱が置かれている。
そしてカーテンで仕切りされており、ちょっと失礼だが奥の部屋に入ってみた。
「ここは…三ツ谷先輩の部屋か?」
一つの部屋を仕切って使っているのか。
グルッと周りを見てみれば、机に裁縫道具などが置かれておりそこにはデザインについての本が置かれていた。
メジャーに布もある。
もしかして、三ツ谷先輩が裁縫をするのかと首を傾げてから直ぐに三ツ谷先輩のスウェットから制服へと着替えた。
「よし…」
着替え終わり、乾いてるウィッグも付けてから部屋を出ていくと三ツ谷先輩はテレビを見ていた。
その横顔は随分大人びている。