The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
「まだまだぁ!うぉぉぉぉ!!」
何度も何度も武道は立ち向かい、その度に大寿に殴られ殴り飛ばされていく。
鈍い殴られる音が教会に響き、辺りは彼の飛び散った血で赤く染っていた。
何発殴られたか分からなくった時、大寿は辟易していた。
何せ何度も殴っても武道は立ち向かい、その度に体力を消耗していくのだから。
「武道……やめろ……やめて」
武道の顔は赤く染っていた。
殴られて赤く腫れ、血で赤く染まり、ふらついている。
「負けねぇぞ」
掠れた声に和泉は首を横に振る。
このままでは、武道の命が危ない。
そんな武道を見て、八戒は唖然としていた。
大寿よりも弱いのに、何故ここまでするのだと。
「なんで……そんなに頑張んだよ。弱ぇくせに!もういいよ、いい加減にしてくれよ!!」
倒れ込んでいる千冬は武道の姿に涙を浮かべた。
「もういい、タケミっち。オマエはよく頑張ったよ。オレらの負けだ」
だが武道は千冬の言葉に反応しない。
その目は諦めてはいなくて、和泉は武道の目を見て背中と頬の痛みを耐えながら立ち上がる。
「武道、もういい!」
武道の目の前に立ち、彼の両肩を掴んだ。
「このままだとオマエが死ぬ!もういい、私がやる!私がやるから、オマエはもう立ち向かったりしなくていい!」
「和泉」
優しく武道は微笑む。
血でグチャグチャになった顔で、優しく微笑む武道に和泉は涙を浮かべる。
「オレは大丈夫だ。それに折角綺麗な姿で可愛い姿になった和泉を戦わせれねぇよ。それにオレは死なねぇから、そんな顔するなよ」
「武道っ……」
「頬も背中も痛むだろ、ほら……休んでろよ」
武道は笑顔のまま和泉をその場に座らせる。
そして特攻服の中から何かを取り出し、それを大切そうに握り締めた。
『コレ、渡したかったんだ』
『これって、オレのあげたとのと一緒……』
彼が握りしめたのは、ヒナとお揃いの四葉のクローバーのネックレス。
(ヒナ……オレに……勇気を……)
武道の瞳は澄んでいた。
同時にその瞳は燃えている。
(……こんな兄貴がいるから、黒龍があるから八戒は立ち上がれないんだ。だったら……)
「大寿……オマエを倒して、黒龍をもらう!!」