The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
頭を下げれば、三ツ谷先輩は思い出したのか顔を一気に真っ赤にさせていく。
でもホントに粗末なモノを見せてしまったのは申し訳がない。
「いや!!いや、んな粗末モンじゃなかった!!」
「え?」
「ちがっ!違う!!そうじゃなくてっ!!」
テンパっているのか、顔を真っ赤にさせたまま叫んでいる目を見開かせている。
自分で何言ってんだという状態になっているのだろう。
そして俺も恥ずかしくなってきた。
今日初めて会った男の人に、裸というか前側は隠していたけど素肌を見られたのを。
「悪ぃ……。慌てすぎて変なこと言った……」
「いや…俺が変な事言ったので……」
「いや………」
変な沈黙が流れる。
お互いなんとも言えない状態であり、ただただ沈黙が流れるだけであった。
「そ、そう言えば和泉って喧嘩強いんだってな」
「え?」
「マイキーから聞いたんだよ。ドラケンに殴りかかったんだってな?」
「あー…でもアレだけで喧嘩強いってなるんですか?」
「威力が凄かったって。あの後腕に痣が出来たみたいだぜ」
「え、マジか……」
そう言えば頭に少し血が上って、結構力込めて殴りかかった事を思い出した。
でも痣が出来たというのがちょっと申し訳ない所だ。
「喧嘩誰かに教わったりしたか?」
「見よう見まねですかね…。小さい頃、無理言って鳴海ねぇとか真一郎君達が抗争してる所見に行ったりしてたので。あとは勝手に着いて行ったり」
「マジ?そんな事してたんだな」
「後で怒られましたけどね」
こっぴどく怒られた事を思い出す。
皆の喧嘩している姿が見たくて、無理して連れ行ってもらったり勝手着いて行ったりした。
すると我慢している笑い声が聞こえてきて、眉間に皺を寄せて目の前を見れば三ツ谷先輩が肩を震わせて笑っている。
その様子を怪訝そうに見た。
「わ、悪ぃ…。なんか第一印象と全然違って、くくっ」
「だ、第一印象ですか?」
「クールっぽい奴って思ったんだよ。男にしてはなんか美人だし、落ち着いてんなと思ったのになぁ」
なんかサラッと恥ずかしい事を言われた気がする。
何故普通に『美人』と言えるのだろうか…しかも裏がある言い方ではない。
「今日で色々和泉の素顔見れたかもしれねぇ」
「そうですか?」
「まぁ、まだ色々見ていきたいけどな」