The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第1章 泣き虫ヒーロー誕生
確認するようにそう聞けば、武道は一瞬黙ってから小さく頷きを見せた。
その表情に驚きを隠せずにいると、武道は俯きながらも手を強く握り締めている。
「タイムリープしてる。オレ、12年後の未来から来たんだ。お前とヒナを救う為に」
「……は?」
「12年後の未来で……お前とヒナは死んでる」
ゆっくりと武道は話をしてくれた。
12年後に起きている未来という話を、泣きそうな顔に何度もなりながら俺に話くれる。
その未来の話はにわかには信じ難くて、だけど武道が真剣に話す物だから俺はその話を信じた。
信じながらも驚愕ばかり。
「…12年後、東京卍會ていう暴走族が犯罪組織となっている。そして俺と橘がその東京卍會と違う組の抗争に巻き込まれてトラックが突っ込んで死んだ」
「……うん」
橘日向。
彼女は武道の彼女であり、とても可愛い子であり他校からも見に来る人間が居るぐらいの子。
そんな子が武道に告白した時は俺はかなり驚いたが、橘は優しくて武道に惚れている優しい子である。
「それで、橘の弟の直人君も死んでいたけど…1番初めのタイムリープした際に過去で未来の話をした事により次の未来では直人君は生きてた。そして彼と、橘と俺を救う為にタイムリープする事を話してこうして過去に来た。で、合ってる?」
「うん、その通りだ……。直人はヒナを救おうとしてくれた和泉に感謝の気持ちがあって、オレの幼馴染だから助けようと話になったんだ」
武道の話によると、俺は未来でトラックから橘を庇おうとしたらしい。
だけどそれは虚しくも出来ずに一緒に死んだらしく、恩を感じた直人くんが俺も助けて欲しいと。
そして武道は直人君と握手してから、タイムリープ出来るらしく過去に戻ってきた。
俺と橘を救う為にと。
「で?タイムリープして、俺と橘をどう救うんだ?」
「……えっと…東京卍會の2トップである佐野万次郎と稀咲鉄太の接触を止める!」
「……佐野、稀咲?」
「どうした?」
佐野の苗字は俺には深い思い出がある。
そして稀咲という苗字は何処かで聞いた覚えがあり、思わず顔を顰めてしまう。
「その2つの苗字…何処かで聞いたことがある」
「え、何処で!?」
「佐野は…知り合いにいた。でも繋がりがあるかは知らない…それと稀咲って苗字は何処で聞いたかな……。何処かで聞いたけど…」