The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
その時、大寿とやり合っていた三ツ谷が地面に膝をついた。
「タカちゃん!!」
「隆さん!」
顔は殴られた跡があり、腫れ上がり、血が付着している三ツ谷に和泉は拳を握る。
「どうした、三ツ谷ぁ?オレはまだ70%の力しか出してねぇぞ?」
「あ?」
三ツ谷はゆっくりと立ち上がり、余裕がある笑みを浮かべた。
「何、余裕ぶっこいてんだよ。ブーツのベルトが外れただけだ」
余裕たっぷりの表情の三ツ谷に、大寿は目元に青筋を浮かべる。
そんな三ツ谷に八戒は叫んだ。
「やめろよ!タカちゃん!無理だよ!!大寿(アニキ)には勝てねぇよ!!」
「おらああ!!」
「どうしたんだよ!?タカちやまん!アンタもっと利口だろ!?そんな無茶な喧嘩しねぇじゃん!!体格も年も上だし、勝てる要素ねぇじゃん!!」
八戒の叫びを三ツ谷は聴きながらも無視し、大寿と殴り合う。
そして千冬が八戒を諌めた。
「オマエ、ちっと黙れよ八戒」
「あ!?」
「わかんねぇのかよ!?意地張ってんだよ。オマエが見てるから」
その言葉に八戒は目を見張った。
「三ツ谷君は頭もいいし、計算もできる。わかった上で体張ってんだよ!弟(オマエ)の為に!」
唖然とする八戒の隣に和泉が立つ。
「隆さんは無茶な戦いだとしても、勝てないかもしれなくても戦うんだよ。オマエの為に」
「和泉……」
「無茶な人は確かにそうだよ。2人でやった方がいいのに、私に見てろって言うんだから」
小さく笑った和泉は拳を握った。
本当なら助けに入りたいところだが、三ツ谷の言う通りに見守る。
「三ツ谷君は負けねぇよ」
「ああ!絶ッ対ェ負けねぇ!!」
三ツ谷は息切れを起こしていた。
長時間の殴り合いのせいで、体力も徐々に削がれてしまっている。
だがそれは三ツ谷だけではない。
大寿もまた、息切れを起こしていて、顔には疲労が見えてきている。
「しぶてぇヤローだな!」
だが彼は笑みを浮かべた。
「疲れちまったからよぉー、そろそろ終わらすわ。なぁ?乾」
和泉は目を見張った。
三ツ谷の後ろにはいつの間にか青宗の姿があり、その手には鉄パイプが握られている。
そして三ツ谷へと振りかぶっていた。
「隆さん!!」
「タカちゃあん!!!」