The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
三ツ谷の叫び声が礼拝堂に響き渡る。
それが三ツ谷と大寿のタイマンの始まりの響きだった。
「おらぁ!」
「こいやぁあ!!」
大寿と三ツ谷の拳が振られるたびに、血が飛び散る。
武道が圧倒的にやられていた相手に、三ツ谷は互角に渡り合っていた。
「すげぇ……三ツ谷君。あのバケモンと互角に渡り合ってる!」
武道はその光景に圧倒されていた。
自分では適わなかった相手に、三ツ谷は互角に渡り合い殴りあっている。
(ってか、その前になんで三ツ谷君と和泉がここにいるんだ?)
目の前の光景の事で忘れていたが、何故この教会に2人がいるんだと武道は目を瞬かせる。
隣にいる和泉に聞くべきか……と思い、彼女に声をかけようとした。
「何、ボーっとしてんだよ。タケミっち」
「千冬!?無事だったのかよ!?千冬!!」
「ああ。稀咲と半間に裏切られて縛られてたところを、三ツ谷君と和泉が助けてくれたんだ」
「……三ツ谷君と和泉が?でも……なんで2人がここに?」
「オレが呼んだ」
「……へ?」
千冬のまさかの言葉に武道はキョトンとした。
「稀咲の裏をかかねぇとな」
「……裏って。バカ!!せっかくの和平なのに!しかも今日は和泉の誕生日なのに!」
「和平なんてオレらに関係なくねぇ?オレらの目的は東卍から黒龍を剥がす事だろ?」
「……そうだけど」
「三ツ谷君が決めた和平だ。本人が破るならみんな納得する。それと……和泉、悪ぃ。折角の誕生日の日にこんな事に呼び出しちまって」
千冬は不機嫌そうに腕を組んで、椅子に寄りかかっている和泉に頭を下げた。
折角の誕生日、そして恐らくデートの最中に呼び出してしまったのだ。
謝罪だけでは済まないはずだ……と殴られる覚悟をする。
「千冬」
名前を呼ばれた瞬間、頭に激痛が走った。
殴られた……と思いながら頭を抱えて千冬は悶えた。
「私は誕生日を台無しにされて怒ってるんじゃないからな。オマエと武道が私に嘘をついて、2人で無茶しようとした事に怒ってる」
「和泉……」
「次からはちゃんと言うこと。分かったな」
「「ああ……」」
2人の返事に和泉は静かに笑った。