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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第5章 聖夜決戦


「三ツ谷……なんでココに……?」


涙を浮かべる柚葉は、殴られたせいなのか意識を失い、三ツ谷に倒れかけた。
その細い身体を支えた三ツ谷は武道の方へと振り返る。


「タケミっち。柚葉を頼む」

「あ……はい!」


三ツ谷から柚葉を受け取ろうとした武道だが、その前に柚葉を支えた人物がいた。


「……和泉!!?」


ワンピースを身に付け、何時もより『女の子』の姿をした和泉がそこにいた。
彼女は三ツ谷から柚葉を受け取り、彼女の涙を拭う。


「よく頑張ったな、柚葉。手伝え、武道」

「あ、うん!」


武道は和泉と共に柚葉を支えながら歩き出した。
そして彼女を椅子に横たえさせる。


(なんで三ツ谷君と和泉が!?)


2人の登場に困惑した武道は、取り敢えず何故ここにいるのかと聞こうと和泉の方を振り返った。
その瞬間、頬を思いっきり殴り飛ばされた。


「い、いってぇぇ!?」

「この阿呆が。勝手に突っ走りやがって、嘘ついて誤魔化しやがって」

「お、怒ってらっしゃる!?和泉様!?」

「ああ!?」

「怒ってらっしゃる!!」


和泉に睨まれ武道は震え上がった。
彼女を怒らせると、母親よりも怖いということを忘れていた。


「……無茶して。何で言わなかった」

「……和泉の誕生日、滅茶苦茶にしたくなかったから」


正直に答えると和泉は深い溜息を吐き出す。


「私は、自分の誕生日が滅茶苦茶になるよりも、知らないところでお前が傷付いてるほうが嫌だ」

「和泉……」

「それに言ったろ?お前がする事には絶対に協力するって。次からは絶対に隠さずに言え。分かったな」


こんな時でも和泉は自分の力になろうとする。
その事に武道はじわりと涙を浮かべて、小さく頷いた。

そんな2人を三ツ谷は眺めながら、大寿へと視線を向けた。


「さて。オレが相手だ、クソヤロー」

「あ?本気かテメェ?休戦協定はどうすんだ?まさが自分で結んだ約束、自分で破るクズヤローか?」

「黙れ。そんな約束より当たり前のこと教えてやるよ。妹にはどんな時も手をあげねぇ。どんな悪さも笑って許してやる。それが“兄貴”だ、バカヤロウ!!」
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