The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
ー宇田川キリスト教会ー
「着いた!」
教会に着いてすぐに和泉はタンデムから飛び降りた。
静かに雪が降り積る教会は人気がなく、人一人の声も聞こえてこない。
「千冬の奴、何処にいるんだ?」
「とりあえず、中に入りましょう」
三ツ谷と和泉は教会に飛び込んだ。
「三ツ谷君!和泉!」
「千冬!」
飛び込んだ先に、縛られて身動きが取れずにいる千冬がいた。
慌てて2人は千冬に駆け寄り、和泉は素早く千冬の拘束を解く。
「タケミっちは?」
「中にいます。……すんません。折角の日なのに呼び出しちまって」
千冬は出来るなら、三ツ谷を呼び出したくなかった。
今日は和泉の誕生日であり、2人で過ごしていたはず。
だが、助っ人を呼ぶのなら三ツ谷しかいないと思ってしまった。
「まず、聞きてぇことにがある。なんでこうなった?」
「……三ツ谷君が柴大寿と和平を結んだ後、八戒がオレとタケミっちに言ってきたんです。『大寿を殺す』と」
「八戒が?」
「タケミっちとオレはそれを止める為、大寿とやり合う事を決めたんです。だけど、半間と稀咲に裏切られて……」
千冬の言葉を聞いて和泉は奥歯を噛み締める。
あの時に気付けば良かったと後悔した。
4人と会った時に追求していれば、こんな事にならなかったかもしれないと。
「取り敢えず、礼拝堂に入るぞ。あと和泉。何があってもオマエは動くな。この戦い、オレが納める」
「……はい」
礼拝堂へと続く扉を開けて、和泉は目を見開かせた。
そこには黒龍の白い特攻服を身に付けた八戒、背中を何故か刺されていて上半身裸になっている大寿と傷だらけになっている武道。
そして、殴られた跡に手にはナイフを握りしめている柚葉。
「八戒は……アタシが守る」
フラフラとしながら、ナイフを握りしめている柚葉の姿に和泉は眉を寄せた。
「私が……私が、守る……んだ」
「守る時に使うモンじゃねぇよソレ」
「え?三ツ谷君!!?」
柚葉が持つナイフを三ツ谷が握り締めた。
彼の登場に武道は驚愕し、八戒は目を見開かせていた。
「手ぇ離せよ、柚葉。オレの手が切れちまう」