The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
三ツ谷の手にはクラッカー。
彼は何よりも輝いた笑顔で和泉に祝いの言葉をくれる。
その言葉にその笑顔に彼女の瞳に涙が浮かんだ。
「……和泉?」
ポロリと涙が溢れていく。
悲しいや辛い時の涙ではなく、嬉し涙なんだと気付いた和泉は目元を拭いながら微笑む。
「ど、どうした!?」
だが三ツ谷は焦りながら、和泉の事を抱き締める。
もしかしてクラッカーの音が駄目だったのだろうか、何か不快な事をしてしまったのかと焦ってしまった。
三ツ谷が焦っている事に気がついた和泉は、鼻を鳴らしながら彼の背中を叩く。
「大丈夫です。ただ、ただ嬉しかったんです」
「え?」
「隆さんに祝って貰ったことが、本当に嬉しくて……」
ゆっくりと身体を離した三ツ谷は、微笑みながら涙を流している和泉を見て小さく笑った。
「そんなに喜んでもらえるなんて思ってなかったわ。これからはずっと、ずっと祝うから。和泉が嫌だって言うまでずっと」
「嬉しいです……」
涙を流しながら微笑む彼女は美しかった。
濡れた瞳は輝いていて、柔らかく微笑む表情は何よりも綺麗。
こんなにも綺麗だなんて……
吸い寄せられるように三ツ谷は和泉に唇を寄せる。
重ねられた唇は、冷えた空気を忘れるぐらいに熱くて、和泉は瞳を蕩けさせながらも瞼を閉じた。
(こんなに幸せだなんて……こんなに幸福な思いをするなんて思ってなかった)
重ねられた唇は少しだけ離れ、角度を変えられてまた重なる。
何度も角度を変えていくキスは、徐々に深くなっていき、酸素を吸おうとして口を開いた和泉の口の中に舌が差し込まれた。
「んっ……」
「和泉……」
舌を舐められ、絡まれて、深くなっていくキスに2人は徐々に溺れていく。
「はっ……あ、んぅ……ふぅ」
ぴちゃっと卑猥な水音が聞こえ、口にたまるどちらかの唾液かわらない唾液を和泉はコクリと小さく音を鳴らし飲む。
その音にさえ三ツ谷は興奮してしまった。
このまま、抱いてしまおうか。
欲望が顔を覗かせ、手を彼女の足元に持っていき、スカートの裾をめくろうとした。
「だ、め!」
めくろうとして、和泉に口を塞がれて手を掴まれた。