The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
和泉は手の中にあるキーホルダーを見て、頬を赤く染めるとそれを大事そうに手で包み込む。
「ありがとうございます……隆さん」
「ん、喜んでくれたんならなによりだよ」
嬉しげに笑う和泉は年相応の女の子だった。
初めて会ったあの日、気怠そうに何もかも嫌気がさしているかのような瞳だった。
だが今はこうしてキラキラと瞳を輝かせて、年相応に笑ってくれる。
その事が三ツ谷はとても嬉しかった。
「お土産コーナーも見たし、次はどこ見たい?」
「じゃあ、もう1回サメ見たいです」
「りょーかい。和泉、ペンギンとサメ好きだなぁ」
一通り館内を回った頃には、既に外は夕日のオレンジ色に染められていた。
和泉と三ツ谷はまた手を繋ぎながら、水族館から出て、帰り道を歩いていた。
「楽しかったか?」
「はい、凄く楽しかったです。隆さん、水族館連れて来てくれてありがとうございました」
「どういたしまして。次はさ、ルナとマナも連れて来ような」
「良いですね!4人で来ましょうね」
「だな……あ〜……一つ、夢が出来ちまったな」
ふと、三ツ谷は夕日へと視線を向けて眩しそうに瞳を細める。
「夢、ですか?」
「何時か和泉とオレとオレら2人の子供と水族館に来てぇなって夢」
和泉は一瞬固まった。
そしてみるみるとその表情は真っ赤に染まっていき、爆発しそうなぐらいに真っ赤になっていく。
「こっ、ここ、こども……!?」
「なんだよ。夫婦になったら子供の1人や2人ぐらい出来るだろ?」
「いや、そ、そう、そうですけど……!?こど、ふ、夫婦!?」
顔を真っ赤にしながら叫ぶ和泉に、三ツ谷はケラケラと笑う。
「オレは和泉とこの先もずっと一緒にいてぇよ。結婚するのも子供が出来るのも全部和泉が良い」
三ツ谷の瞳は慈愛と慈しみと欲望で染まっていた。
その瞳を見た和泉は更に顔を赤くさせながら、俯いてしまった。
「さてと、夜遅くなる前に帰ろうぜ。ご馳走用意してるから」
「ご馳走?」
「クリスマスでもあり、和泉の誕生日だ。張り切って色々作ったんだぜ?勿論ケーキもある」
「もしかして隆さんの手作りですか?」
「店のより味は落ちるけど自信作」