The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
「イルカショーか。1回だけ、母ちゃんがルナマナと一緒に連れて来てくれた事があったんだ。その時すげぇ楽しくて、世界がキラキラ輝いてたんだよなぁ」
「私もです。真一郎君と鳴海ねぇに連れてきてもらった時、凄く綺麗で美しくて……何もかも輝いてた。でも今は、あの時以上に全てが輝いてます」
三ツ谷といる事で和泉の世界は何時も輝いていた。
こんなにも世界が輝いて見えたのは、鳴海や真一郎が死ぬ前の時以来かもしれない。
三ツ谷といると安らぎ、三ツ谷といるとこの世界が苦しく思えない。
(……さっきまで分かってなかったけど、私はきっと隆さんに依存してる。隆さんがいないと、上手く生きてける気がしない)
だからこそ、12年後の未来で彼がいない自分はどうやって生きてきたのだろうかと謎だった。
和泉は何時も12年後の未来では東卍にはいなかったと、武道から聞かされている。
何故、東卍から抜けていたのか。
何故、三ツ谷の傍にいなかったのだろうか……なんて思っている時だ。
「和泉」
名前を優しく呼ばれ、眉間を軽く押される。
「え……」
「なんか難しい事考えてだろ?そろそろイルカショー始まるぞ」
「あ、え……あ!」
「たくっ……今日は、和泉の誕生日なんだから楽しいことだけ考えろよ?」
「そう……ですね」
確かにその通りかもしれない。
楽しいことだけ考えよう……と和泉は始まったイルカショーを見つめた。
イルカショーが始まれば、難しそうな表情をしていた和泉も熱中してショーを楽しんでいた。
そんな彼女を見つめていた三ツ谷は、柴大寿と和平協定を結び、柚葉と話をした帰りにマイキーに言われた言葉を思い出す。
『黒龍なんてほっとけよ。三ツ谷はさ、イズミっちの幸せだけを考えててよ。絶対にイズミっちを幸せにしろよ』
気掛かりなことはある。
だが、マイキーの言葉に頷いてしまっていた。
和泉の幸せだけを考える。
マイキーと約束した事を守ろう……そう思いながら、和泉から視線を外し、イルカショーを眺めた。
「ショー楽しかったですね!」
「だな!あんなにはしゃいだの久しぶりかも」
イルカショーが終わると、三ツ谷と和泉は館内を歩きながらお土産コーナーへと向かっていた。