The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
「ここも、真一郎君と鳴海さんと来た?」
「はい。懐かしい·····」
目を細め、壁に描かれた生き物のイラストを眺める横顔に三ツ谷は純粋に『綺麗だ』と思った。
子供のように目を輝かすのも、こうして懐かしさに目をの細める姿もどの姿も綺麗だと感じる。
「さてと、何食うか選ばねぇとな」
「あ、そうでしたね」
「オムライスにする?」
「いや……うーん……」
メニューを見ながら和泉は唸った。
オムライスも良いが、メニューにある人参がイルカの形に切り抜かれているカレーも捨てがたいと悩む。
「和泉、カレーとオムライスで悩んでんの?」
「イルカの人参が可愛いなって……」
「イルカ好きなの?」
「そうですね……好きです。可愛いから」
理由が女の子らしいなと三ツ谷は微笑んだ。
男装を強制させられ、男のように生きるように言われていた彼女でもやっぱり女の子らしい所もあるんだなと。
「じゃあ、オレがカレー頼もうか。で、交換したりしよう」
「え、良いんですか……?」
「今日は和泉の誕生日だぞ?好きな物食べろよ」
「……はい」
嬉しげに微笑む和泉に三ツ谷は『嬉しそうだな』と心の中で呟きながら、店員にカレーとオムライスを頼んだ。
食事が届くまで、和泉はパンフレットを眺めていた。
イルカショーを見たあとは何を見ようか、何処に行ってみようかと悩んでいた。
(あ、サメみたいな……もう1回ペンギンもみたい)
頬を赤く染めながら、楽しげにしている姿に三ツ谷は目を細める。
(普段は大人びてるけど、こうして見ると年相応だな。こういう姿を見れて良かった)
暫くして、2人の元に料理が運ばれてきた。
ケチャップでイルカのイラストが描かれたオムライス、人参がイルカの形になってあるカレー。
それを見た和泉は目を輝かせた。
「可愛い……」
「ホントだな。写真、撮るか?」
「撮ります!」
料理の写真を撮り終え、2人は食事を始める。
イルカショーが終わったら何処に行くかと、話したりそれぞれの料理を交換したりと楽しんでいた。
そして食事を終えた2人は、足早にイルカショーがある外へと向かった。
早めに来たおかげなのか席は空いていて、2人は1番前の席に腰掛ける。