The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
「あ、さっきパンフレット貰ったんだけどよ。昼の13時からイルカショーあるらしいぞ。見たい?」
「絶対に見たいです」
「よし。じゃあ、それまで色々見て回って、12時ぐらいに昼飯食おうな。次どこ見る?」
和泉は三ツ谷と共にパンフレットを覗き込み、直ぐにある場所を指さした。
「触れる生き物コーナー行きたいです」
「お、いいな。じゃあそこ行こうぜ」
2人は色んな場所を巡り、色んな生き物を見たりと水族館を一通り楽しんだ。
楽しい時間というのはあっという間であり、時間は12時前。
三ツ谷は腕時計で時間を確認してから、海月を眺めている和泉に声をかけた。
「和泉。そろそろ飯食いに行こうぜ。レストラン混んでたらいいけどなぁ。じゃなきゃイルカショーに間に合わないかもしれねぇから」
三ツ谷は自然と和泉の手を取った。
「よし、レストラン行こう」
「はい」
自然と繋がれた手に和泉は頬をほんのりと赤く染め、嬉しげに微笑んだ。
男装をしている時は手を繋ぐことを遠慮していた。
男同士で手を繋いでいたら気味悪がられるのでは·····そんな思いで手を繋ぐ事をしてこなかったから、自然と繋げることが嬉しかった。
「レストラン、何があるかな。何が食いてぇとかある?」
「ん〜……オムライスとか」
「思ったんだけど……和泉、オムライス好きだよな」
「え?そうでしょうか?」
「オレがオムライス作った時、すげぇ嬉しそうな顔するし。前にファミレス行った時もオムライス頼んでた」
無意識だった。
和泉は特に好物がある訳ではないが、確かに小さい頃からオムライスはよく食べていた記憶があった。
「……なんか、無意識ですね」
「なんだそれ」
三ツ谷はふっ……とおかしげに笑う。
(なんか、マイキーみてぇだな。オムライスが好きとか……またオムライス作ってやろう)
手を繋いだまま、2人はレストランへと向かった。
レストランは人は多かったが、意外とすんなりと入れて、窓際の席に通される。
水色を強調されたレストラン内は、生き物のイラストが描かれていて可愛らしい。
そんなレストランを和泉は眺めながら懐かしげな表情を浮かべた。