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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第5章 聖夜決戦


ふと、隆さんが私の事を見てきている事に気が付いた。
じっ……と真っ直ぐな視線に思わずたじろいでいれば、隆さんは小さく笑った。


「あとで写真撮ってもいい?」

「え?写真ですか?」

「今日の和泉の姿、写真で収めときてぇんだよ」

「……恥ずかしいから嫌です」

「え〜。どうしても駄目か?」

「駄目です」


そんな会話をしている中、街を行き来する人達を見るとカップルが多いことに気がついた。

それもそうだろう。
今日はクリスマスであり、恋人の日……なんて呼ばれているのだから。

クリスマスに、そして誕生日に恋人と過ごせている私は恐らく贅沢者。
なんて思いながら隆さんの方を見た。


「ん?どうした?」

「……私って贅沢者だなと思って」

「なんだそれ」


くしゃりと笑う隆さんに私も釣られて笑う。

こんなやり取りが出来るのも贅沢だというものだ。
私は今日もきっとこれからも、隆さんの側にいる度に自分が贅沢者なんだと思うだろう。



「多いなぁ、人」


あれから水族館に辿り着いたが、人がかなりいた。
クリスマスデートにはちょうど良い場所でもあるのだろうか、見事に周りはカップルばかり。

周りを見ながらも、私は水族館を見上げた。
私がまだ小学生の頃に来た以来だからなのか、とても懐かしい気分になってしまう。


(真一郎君と鳴海ねぇに連れて来てもらった時以来だからなぁ……懐かしいや)


8年前ぐらいだろうか。
水族館に行ったことがないと呟いた私を、真一郎君が『連れて行ってやるよ!』と言って鳴海ねぇと共に連れて来てくれた。

あの時は本当に楽しかった。
真一郎君と鳴海ねぇも楽しそうで、それを見るだけで本当に嬉しかったのを覚えている。


「どうした?なんか懐かしそうにしてるけど」

「真一郎君と鳴海ねぇに連れて来てもらったのを思い出してたんです」

「そっか」

「本当に楽しかった思い出なんです」


そう呟く私の手を、隆さんが優しく握ってきた。


「じゃあ、また一つ思い出増やそうな。楽しかった思い出をオレと増やそう」

「……はい!」


水族館の入場チケットを購入してから、私達は館内へと入った。


「久しぶりに来たなぁ水族館」

「私もです。わぁ……ウミガメだ」

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