The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
恥ずかしくなって、慌てたように由香おばさんの部屋を出てから自分の部屋へと向かって隆さんからの連絡を待つ。
数分したぐらいだろうか。
携帯が鳴り、直ぐに電話に出ると電話の向こう側からは小さな笑い声が聞こえた。
『電話に出るの早いな』
「そ、そうですか……?」
『今、家の前に着いた。寒いから防寒はしっかりして出てこいよ』
「はい。ちょっと待っててくださいね」
マフラーを手に取り、一応の為にホッカイロをコートのポケットに突っ込んだ。
足早に玄関へと向かい、扉を開けると白い息を吐き出して立っている隆さんの姿があった。
「はよ」
「……おはようございます」
隆さんは私の姿を見ると、少しだけ目を見張った。
そして直ぐに目を細めてから微笑む。
「すげぇ似合う。やっぱりそのワンピースで良かった」
「本当ですか?似合ってるなら良かったです」
「可愛い。化粧してんの?」
「あ……由香おばさんがしてくれたんです。おかしくないですか?」
初めての化粧に緊張してしまう。
似合っているだろうか、おかしくないだろうか……と不安になってしまう。
そんな私に隆さんは柔らかく笑った。
「どこもおかしくねぇよ。すげぇ可愛いし、すげぇ綺麗。似合ってるよ。あと、誕生日おめでとう」
「ありがとうございます。でも、もう0時ちょうどに電話でおめでとうって言ってもらいましたよ?」
「もう1回言いたかったんだよ」
優しく甘い声に照れてしまう。
きっと赤くなっている顔を隠すため、俯いていると視界に手が現れた。
顔を上げると、隆さんが私に手を差し出していた。
「そろそろ行こうぜ、水族館」
「……はい」
差し出された手を取れば、優しく握られた。
じんわりと隆さんの手から熱が伝わり、冷えている私の手を温めてくれる。
「今日、ルナマナが着いてくるってうるさくてな」
「え?別に連れてきても構わなかったんですよ?」
「最初はあまりにも執拗いから、和泉に相談しようかと思ったんだ。でも今日は母ちゃんがいたから、母ちゃんに『デート楽しんできて』って言われて、ルナマナの面倒見てもらうことにしてもらったんだ」
「お母さん、今日お仕事お休みだったんですね」
「おう」